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「じゃあ次、ちょっとツッコんだ質問いきますよー!」
「ちょ、やめろし! まだ早いって!」
「またまたー、ほんとは待ちきれないくせにー」
「そ、そうなんだけどぉ……」
無駄にウザいテンションの手下と、照れる魔王。
女は今や最初とは別の意味で恐怖に駆られていた。次は何聞かれるんだろう。怖いなぁ。
「質問⑤。角の生えた男子は恋愛対象になりますか?」
……うわっ。
露骨すぎて正直少し引く女。魔王は相変わらず、瞳孔ガン開きで女の回答を待っている。
女は、ちょっとしたイタズラを思いついた。
「角かぁ。なんか、戯れ合ったら不意に刺さったりしそうだな。そうなったらきっと痛いだろうし、答えはいい「バキッ」……え?」
そう。ちょっとしたイタズラのつもりだった。勇者の仲間を捕まえておいてくだらない質問ばかりしてくる魔王サイドへの、細やかな意趣返し。
鈍い音に顔を上げると、そこには何事も無いかのような涼しい顔で佇む、だけど明らかにさっきまでと雰囲気の違う魔王が居た。
女はジト目で尋ねる。
「あの、魔王? なんか、イメチェンした?」
「え、何が? してないけど?」
「そう……でもなんかこう、何かが減ったような気がするんだけど」
「減った? あ、腹でも減ってるの? 後でなんか食べる? 手下にアクアパッツァ作らせるけど」
気を遣って遠回しに聞いてやれば、下手くそな誤魔化しで乗り切ろうとする魔王。
女は魔王の足元に転がった厳つい2本の棒を指差す。
「その棒は?」
「え、あぁこれ? ……インテリアだけど?」
「インテリア」
「うん。最初から置いてあったけど? 良かった、気付いてもらえて。オシャレでしょ?」
「いやいや……無理あるって。角折ったの? 私が角は恋愛対象外って言ったから? なんかごめんね」
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