◆たかが恋。されど恋

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◆たかが恋。されど恋

「……はぁ」  背中を曲げてコタツにうずくまり、溜め息をつく。  ハロウィンから一週間が経ち、あの夜の出来事がいくらか遠く感じるようになった。  と同時に冷静に分析する気持ちの余裕も生まれてきた。 『物欲しそうな顔をして、あんなところにいたら、こうなるんだぞ』  入れ墨なんてあって、ものすごく怖かったけれど、彼は私を叱りたかっただけなのかも?  やっぱり優しい人だったのかな。  しようと思えばあのまま私をレイプできただろうに、彼はしなかった。もちろん胸は触られたし、あれでも十分に暴力だと思う、  でも彼が言った通り、私は物欲しそうな顔をしていたろうし、一方的に彼を責められない。  あのとき私は号泣して叫んだ。  覚悟はしてきたつもりだったけれど、私は世間知らずでやっぱり甘かったのだ。あんなふうに男の人が豹変するなんて夢にも思わなかった。  しかもよりによって極道だなんて。  優しそうに見えたから、後悔しないつもりで……。私は、バカだ。  目をつむって体をよじりながら涙を流していると、ふいに押さえられていた手首が自由になった。
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