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第53話初恋
「光、そろそろ戻ろうか」
癒しの兄上と仲良くしていたら、パパ上からの無粋な声がかかった。
空気よめ!
このバカ父!
フンス、と顔をパパ上の声のする方に向けると美女がいた。
……美人!
え?え?え?え?
なにこの美女!
艶やかな美女だ!
大輪の花のような美女とは、まさにこのこと!
気の強さが顔に出ているけどそれがなおいい!
「結婚してください!!!」
美女に向かって叫んでいた。
しょうがないよね?こんな美女、この先お目にかかれないよ!
僕の好みだよ!!!
僕は気づかなかった。
この美女の正体を。
そして僕以外の人が凍り付いてしまったことにも。
だって、僕の目は美女に釘付けだったのだから。
「ひ…ひかる……?」
「あなたのような美女は初めて見ました!『立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花』とはまさにこのこと!」
「ひ、ひ、ひかる……」
美女を口説いているのに邪魔が入る。
この状況を見て理解できないのか!
「なんですか!父上!邪魔しないでください!今が勝負なんです!!」
「クスクスクス」
控えめながら音楽を奏でるかのような綺麗な笑い声。
美女が目を細めながら面白そうに笑う姿は絵になる。
「二の宮は随分と楽しい御子のようですね」
美女は声すらも美しい~~~!
「私は弘徽殿の女御。一の宮の母です」
あれ?
弘徽殿の女御?
一の宮の母?
一の宮は僕の異母兄、ということは?
「……ちちうえの…奥さん」
「正確には、妃に一人ですね」
艶やかに微笑む美女は…僕の義母の一人だった。
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