プロローグ 

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「わあ。」 「あらぁ。」 「おぉ。」 謁見の間奥、正面数段上がった所に国王と女王が鎮座し手前を囲う様に数名の国の重鎮と衛兵たちが一斉に三人に注目する。 静まり返る中一人の衛兵が「三人前へ!」と号令をかける。 空いた中央を通され国王を正面に右手にサラ、中央にエルラ、左手にオーレンと片膝を着く。 再び先ほどの衛兵の声が響く。 「サラ・エルゴール前へ。」 「はっ。」 サラは立ち上がり金色の髪を揺らし一歩前へと進む。 「この度は、お声掛け頂きありがとうございます国王陛下。」 「ソナタが、魔法学校きっての若き天才と名高いサラ・エルゴールか。噂はこのワシの耳まで届いておるぞ。」 国王は誇らしげに少女へ語りかける。 「勿体ないお言葉。ご期待に添えるよう全力を尽くします。」 「うむ。しっかりした娘じゃ。」 衛兵が続ける。 「続いて、エルライン・フォレストロード、、マ。マ。マヤ。」 「エルラで構いませんよ。」独特の語尾の上がるイントネーションに視線が集まった。 既に立ち上がりサラの横へと進む長身のエルフ。 エメラルド色の美しい長い髪が集まった視線を釘付けにする。 「森の賢者と謳われるエルフ族の長の娘よ、遠方からわざわざ足を運んでもらいすまなかった。これ程までに美しいとは噂通りだな。そなたの類まれ無い知識に期待しておるぞ。」 「イヤですわ。国王様、の美しさだなんて。まぁ、ワタクシにとってはこの旅も短い散歩の様なもの。気楽に行かせてもらいますぅ。」 まるで、物怖じしないその姿はさすが長寿のエルフ族と言うべきか。 衛兵は更に続ける。 「続いて、オーレン・フォード前へ。」 「へいへい。失礼しますよ〜。」 こちらもまた、取り乱すこと無く自然な動きでエルラの横に並ぶ。 その軽い態度に、衛兵が何かを言おうと前のめりになるが国王がそれを静止させる。 「オーレンよ。久しぶりだな。」 「お久しぶりです。国王陛下。」と紳士気取りにポーズを決めるオーレン。 「お主の事は良く知っておる、王国ギルドの数少ないS級冒険者。そして、酒癖の悪さは王国随一。違ったか?」 紳士気取りのポーズから一転、頭をポリポリ掻きながら「そりゃあんまりですよ陛下」と苦笑いをするなんちゃって紳士のオーレンだった。 「今日は、急な招集に応えてくれてすまなかった。王国を代表して礼を言う。ありがとう。」 両者深く頭を下げた。 「話は、ある程度聞いているやも知れぬが改めて説明するとしよう。シェルナール。」 「はい。」と、前に出てきたのはメイド姿の人族の体格の良い女性だった。 謁見の間に来るまでに見た、他のメイドとは明らかに違う装いから恐らくはメイド長だと思われた。 「メイド長をしております、シェルナールと申します。それでは、恐れながら私より今回の旅の目的を簡単にでは御座いますが説明させて頂きます。」 「これから御三方には、ある人物と一緒に旅へ出て頂きます。既に知っておられるかと存じますが、【終焉の終わり】を宿した少年です。名はハルと申します。ハルと共に王都を中心とした東西南北に4個所点在しております【浄化の塔】にて【終焉の終わり】の浄化を行なって頂きます。」 「ハル。こちらへ。」 ・・・・・・・・ 「ハルッ!出てきなさいっ。」 メイド長が語気を強めると、メイド長の後ろからひょこっと少年が顔を覗かせた。 三人は、「えっ。」「あらっ。」「おっ。」と驚く。 どうやらずっと、体格の良いメイド長の背中に隠れていたのだ。 「あ〜。いや、何か僕のためにすみません。へへへ。」何やら力の抜けた表情で気弱そうな少年がペコペコと現れた。 「こらっハル。しゃきっとしなさいっ。国王様の前ですよっ。」メイド長が少年の背中をパンッと叩く。 「イタタ。シェルナールさん、ひどいですよぉ。」 何とも弱々しく見える。 「まぁ、良いではないか。シェルナールよ。ハルも人前に慣れてないんだろう。」 見ていられなくなった、国王自ら仲裁に入った。 「これは、失礼致しました。」 キョトンとしている三人と目が合うと「養母を承っているもので。」と一礼する。 ※※※※※※※※ ハルを含めた4名が、国王及び女王に向い片膝を付く。 「それでは、お主等四人に改めて【使命】を授ける。ハルと共に浄化の塔を廻り、【終焉の終わり】を浄化し世界の安寧を守るのじゃっ!」 「「「「はっ。」」」」 「あっ。は、はいっ!」 「そなたらに、神の祝福があらんことを」 国王のその一言を合図に、この場にいる他の者全てが四人へ向け「神の祝福があらんことを」と声を揃える。 「それでは行くがよい!」 四人が振り返り大扉へと向い歩き出すと、メイド長のシェルナールが「どうかっ。」。 「どうか。良い旅を・・・・。」 メイド長の目からは、堪えきれず溢れ出した涙が頬を止まる事無く流れていた。 そんなメイド長にハルは申し訳なさそうに。 「行ってきます。シェルナールさん。どうか御身体に気を付けて。」 サラはその時の光景がどうしても目に焼き付いて離れなかった。涙を流すメイド長と、唇を噛み締め目尻に涙を溜めるハルの表情が。 まるで今生の別れ様に見えてならなかった。
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