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教師は郡上剛史といった。生徒からは「インテリ陰険眼鏡」と呼ばれている、ちょっと目つきの悪い男だ。だからといって性格が悪いわけではないのだが、教師と生徒はたいてい水と油である。
「佐々鈴蘭について聞きたいんだが」
はて? と理衣子は首を傾げる。彼と仲良く話した記憶はない。
「佐々君……ですか?」
「ああ。綾本、同じクラスだろう」
確かに、理衣子と彼は一年一組のクラスメイトである。
「佐々君がどうかしたんですか」
「その髪の色をいい加減もとに戻せと言ってやりたいところなんだが、あいにく俺は雑務が忙しい。おまけに一年一組の担任はあの優しい斉藤先生だ。聞けばお前たちのクラスは授業崩壊を起こしているそうじゃないか」
「ああ……」
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