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そっとタオルケットを手放して、本体に抱きつく。ああ、あたりまえだけど、やっぱり。
「同じ匂い」
「身体、ちゃんと洗った気なんだけど……」
「そういう意味じゃなくて! ……終の匂い、好き」
「なんか、調子狂う」
終が私を押し倒すようにして、ごろんと寝そべったので、そっとキスをする。
「……今日、どうしちゃった訳?」
「このあいだの反省を踏まえて、素直になることにした」
最中にやたら「素直に」だの「力を抜いて」だのと言われたことが、なんだか印象に残って。私はそんなにガッチガチだったんだろうか。
確かに、普段から武装はしているけれど。いろんな意味で。
「ふうん……」
もう一度抱きつくと、終はゆっくり抱きしめ返してくれた。安心して胸に顔をうずめる。
「私がこんな風に甘えるの、終だけだよ。他の人には、恥ずかしくてできない」
できなかった。可愛くない女って、何度も何度も言われた。可愛いよりも強く美しくありたかったから、気にしてないつもりだったけど。なぜだろう、終の目には可愛く映りたいと思ってしまう。
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