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三石さんの家にしか現れない怪奇現象の原因が、こんなことだったなんて。まだ事の真相すべてを三石さんに話していないけれど、これはどう説明すればいいんだろう。特に弥生さん、お腹が大きいのに、こんなショックを受ける話を聞くなんて……。
少し沈黙が流れた後、誰かの震える声がした。
「そ、そうですか……じゃあ、いくら払えば黙っていて頂けるんですか?」
ぎょっとした。もはや正気を失ったかのような人々が、暁人さんに群がる。
「子供がいるんです、警察になんて届けられたら困ります」
「うちもですよ。若くて子供もいないあなた方には分からないかもしれないが」
「私たちだってやりたくてやったわけじゃないんですよ」
「そうです、俺たちも被害者なんです」
「あなたたちが黙っていてくれればみんな幸せになれますよ」
「三石さんたちもすべてを知るのが幸せとは限らない」
「お金が欲しいんでしょう、みんなで頑張って払いますから、除霊だけして帰ってもらえませんか」
「どうかお願いします」
「どうか」
「どうか」
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