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 スペインバルでの告白から、私が隼斗への思いを認めるまで3ヶ月かかった。その間のクリスマスも、バレンタインも一緒に過ごしたけれど。  元カレとのゴタゴタを隼斗に伝えるのは嫌だった。でも、あの人と別れたことも私がそのあと酷くふさぎ込んだことも知っている隼斗に、隠すのもどうかと思う。  咲世は軽々しく話す子じゃない。けれど、隼斗はもう全部知っているのかもしれない、と思った。隼斗は何も尋ねてこないし、私に必要以上に近付かない。それが、大切にされているような気がしていた。  でも、待てよ。  そう言えば、私はきちんと隼斗に付き合ってと言われたわけではない。気付いたらおかしくてたまらない。  あの態度から考えて、好きだと匂わせて、その気にさせようとした訳じゃないと思う。  意外に隼斗って、不器用なところもあるのかもしれない。      東京の桜の開花が、例年よりも一週間ほど遅れた3月末。  一緒に桜を見ていたとき、突然私は自覚した。  来年も、その次の年も。  こうして隼斗と桜を見ていたい。  この人と過ごす時間が好き。  ずっと一緒にいたい。  それは、つまり。 「私、…隼斗が好きみたい」 「好きみたい?」 「…好き」 「うん。ありがとう。俺は、ずっと前から好きだ」 「知ってる。教えてくれたから」  私はこのあと、どうするべきなんだろう?勢いで口にしたものの、悩んでしまった。目の前の桜を見るばかりで、隼斗の顔を見ることができない。 「…何?」 「私、どうすればいいの?」  視線を感じて振り返ったら、隼斗は急に姿勢を正して言った。 「あ。俺と・・・けっ、結婚してください」 「え、待って!交際0日で?それは、ちょっと…」 「あ、じゃあ、付き合ってください!」  後で聞いたら、「好き」って聞いた途端、舞い上がりすぎて自分が何を言ったか覚えていないらしい。  そんな素の隼斗も、いつもの動じない隼斗も、全部まるごといとおしいと思った。  結局、私は元カレとのことを詳しく彼には言わなかった。私と隼斗の時間に、あの人は関わりがないから。  出会いの順番に関わりなく、隼斗を深く知ったら、私は間違いなく恋に落ちたと思うから。
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