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翌晩。
いつもは浩太朗を真ん中にして、川の字になって3人で寝ている私たち。お手洗いに起きて戻った時、思い切って隼斗の隣にもぐりこんで抱きついた。
私にしては、すごく頑張った。
いつだって、最初に触れるのは隼斗だったと思うから。
「どうしたの?急に。」
私の手を解きながら、彼は真顔で私に尋ねた。
「だって私たち、最近全然…。」
「疲れてるんだ。さおりだってそうでしょ?…大丈夫だよ。浮気なんかしてない。する気も無いよ。」
何をどう伝えていいか分からなくて、身を乗り出して彼の唇に触れようとすると、彼が顔を背けた。
「ごめん。今は…そんな気持ちになれないんだ。」
「そんな気持ちって?」
「…浩太朗がいるし」
「ぐっすり…眠ってると、思う」
言いながら、どんどん不安になってきた。自分から誘うなんてとんでもない痴女だって、隼斗が呆れていたらどうしよう。
「・・・ごめん。疲れてるんだ。休ませてほしい。」
何も言えず、私は彼の傍を離れた。浩太朗を間にして、背を向けたまま枕に強く顔を押し付けて眠ることにした。そうしないと涙がでてしまうから。
拒まれたことで泣いたら、もっと惨めな気持ちになってしまうから。
何がいけなかったんだろう?
いつから、彼は私にあんな態度を示すようになったんだろう?
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