232人が本棚に入れています
本棚に追加
夕方帰宅後、普段はお休みの土曜の保育園に疲れたのだろう。浩太朗は夕食後すぐに寝てしまったので、彼女たちが見てみるといいよと教えてくれたサイトにアクセスする。
セクシャルな問題に悩む女性の話、対する男性の気持ちなどを載せたページもあって、食い入るように読んだ。
9時過ぎには隼斗も帰ってきたけれど、食事をしてすぐに眠ってしまったのをよいことに、再度アクセスする。
この記事が事実なら、悩む人は大勢いるみたい。だからと言って安心もできないし、解決したわけでもない。
ただ、少しだけ気は紛れた。
イライラしたり悲しい気分で過ごしたりするより、自分磨きをしよう。
そう思って、その話題を扱っていたサイトの通販でいくつかの商品を購入した。
自分でも、かなり思いきったと思う。美肌のためのボディジェルと、デリケートゾーンのパック、そして“大人のおもちゃ”。
期待と諦めが混じったチョイスかなと自分に突っ込みを入れるくらい、心に余裕も出た。
浩太朗のためにも、前向きで明るいママになりたい。
それから鏡の前に立つ時間が、少しだけ増えた。出産後気になっていた体の不調やいつの間にか崩れていた体のラインも、少し変わってきたような気がする。
隼斗の態度は、変わらない。優しいのに、以前のように目を細めて私を見つめることはしなくなった。
その対象は、今は浩太朗だ。
こんな風に感じてくよくよするのは、一般的には旦那さんの方じゃないのかな?
一度封を開けてその形状に戦いて、使えなかった“おもちゃ”は、クローゼット上の棚にしまいこんだ。
この先、私がどう変わるかはわからないけど、少なくとも今は“したい”訳でもなかった。
ただ、隼斗に求められたかったし、安心させて欲しかっただけ。
ああやだ。
いつだって、自分で自由に選んで決めていた私が、隼斗にだけは委ねてたんだ。甘えてた。
隼斗に、触れてほしかった。
前みたいに、私に夢中になる隼斗が見たかっただけだった。
涙が込み上げそうになって、ぐっと唇を噛み締める。
まだ、壊れた訳じゃない。
自分を建て直して、ちゃんと気持ちを隼斗に伝えよう。
最初のコメントを投稿しよう!