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はるれんは嫉妬する
「おはようございます。」
俺と陽斗と真守は、衣装に着替え、現場入りした。
初めに、監督と新曲のMVの打ち合わせをすることになった。
新曲は真守主演のドラマの主題歌で、『Liar』という。
男女の恋の駆け引きを、赤裸々に綴った大人なバラードだ。
「今回は3人それぞれのイメージに合わせた場所で、モデルの女性と絡んでもらいます。」
絡む!?どうやって?
俺は思わず陽斗の方を見た。
陽斗は真剣に監督と打ち合わせをしている。
それなのに、俺は何考えてるんだ。
これは仕事。
私情を挟んだらプロ失格だ。
俺は雑念を振り払い、目の前の仕事に集中することに決めた。
その時、共演するモデルの女性も現場入りした。
新曲のイメージに合った色っぽい女性だ。
「ソロ撮影は真守くんから始めるから、準備して。」
「はい。」
俳優業にも精力的な真守の演技を間近で見ることは、俺も陽斗も今日が初めてだった。
「本番行きます。」
現場にスタッフの声が響いた。
その瞬間、真守の表情が変わった。
「真守くん、行けるか。」
「はい。」
そして、カメラは回った。
──────────
真守はベッドで女性と目覚めた。
ここからでは、何を話しているのか聞き取れないが、いい雰囲気なのは分かる。
そして、真守が窓際でシャツのボタンをはめていると、女性が後ろから彼を抱き締めた。
真守は彼女の方を向き、優しい笑みを浮かべた。
「カット!」
数分間のシーンだけれど、ここまで本格的に絡むのか。
俺は一抹の不安を抱えながらも、次の陽斗の撮影を見守ることにした。
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