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そんな毎日が、1ヶ月ほどたった。雨が降る日が多く、俺も旅立つ日が延期され続けた。俺はここを出て行きたくない気がした。永遠さんの旦那さんはどこにいるのだろうか。彼女は何者なんだろ。何も踏み込めていない。 「永遠さん」 「旦那さんは、」 「辞めてちょうだい。旦那なんて居ませんわ」 その日の夜。いい雰囲気になったと思い何かを言いかけたら、 「辞めて。」永遠は、言った。 「ごめんなさい。僕は、永遠さんのことが」 「辞めてこれ以上聞きたくない。」永遠は、2階へと逃げていった。 俺は永遠さんのことが好きになっていたらしい。3時間くらいたって追いかけた方がいい気がして、2階の部屋に初めて入った。 「永遠さん、ごめんなさい。」 ガタガタ、窓が揺れてる音がして見たら窓が空いていた。飛び降りた!?と思っ手覗き込んだら上からここよと声が聞こえた。屋根の上にある小さい屋上のようなところにいた。 「いらっしゃい」永遠さんから誘ったのは初めてだった。 「たまにここでウイスキーを飲むのよ。考え事したい時にね。今さっきは逃げてしまってごめんなさい。」 「いやいや、俺が何も知らずに言おうとしたのが悪いです。何も知らないのに…」 「じゃあ、交換条件。気になることいい合いっこしましょ。匡さんは、何から逃げていたの?」 「災害です。俺の住んでいた街を全て飲み込んだ。地面が揺れてみんなは祈ってばっかりいた。俺は逃げた方がいいと思い逃げたんです。高いところに行った時に見えました。水と山が飲み込んでいたところを」 「そう。ごめんなさい。そんなことを言わせてしまって。」 「大丈夫です。じゃあ、次は、俺の番ですね。旦那さんがいないのになぜ左手の薬指に指輪をしてるんですか?」
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