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「てめえらで処分するにしても、どうせ皆殺しなんだろ? だったら同じ事だ。協議会の内部で落としまえなんて、そんなかっこつけたことさせてやんねぇよ」
ラズが吐き捨てるように言う。
「マットには訊きたいことがあった。しかしもうできない。あの世までお話しに行くわけにもいかないしな」
柳のその言葉に、微かに目を見合わせるラズとダイゴ。
「ならちょうどいいじゃねぇか。送ってやるぜ」
またしても銃に手をやろうとするラズを、ダイゴが慌てて止める。
「どんなお話がしたかったんだい? まさかあんたが懺悔ってワケでもないだろう?」
「なんの神様に懺悔したところで、俺の罪の欠片も消えやしない。そんな無駄なことはしないさ。ヤツが最近かなり派手に動いていた裏には、マンバが絡んでいたらしいんでな」
「マンバ? 確か、インドの組織のヤツだったか?」
怪訝な顔になるダイゴ。
「そうだ」頷く柳。「だが除名になった。トップ連中を皆殺しにして自分が上に立とうとした動きを掴まれ、元新港地区……地獄遊園地へ渡った。そこで新組織を立ち上げたようだ」
「なんだか危ねぇヤツのようだな」
「あそこは世界公園でさえ窮屈に感じるような、特大のバカが行くところなんだろう? マンバってたしか世界最強レベルの毒を持つヘビのことだよな? そんなのを名前に使うくらいだから脳みそにも毒がまわってんじゃねぇのか?」
呆れたようにラズが言う。
「そのようだ」ふんっと柳が笑った。「しかもその毒をまき散らしている。最近は世界公園以外の場所まで手を伸ばして、まがい物の薬物を売買したり児童誘拐したり、えげつないことをし始めた。そのあたりのことを、マットに問い質そうかと思っていたんだが……」
「面倒なことは取っ払って、私がぶっ殺してきてやろうか? そういうのが相手なら、遊撃捜査班の事案として十分だぜ」
ラズの目が鋭く輝いた。
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