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SCENE3 地獄遊園地《ヘル・アミューズメント》中心部
ミニヘリ型有人ドローンが向かったのは、その昔ワールド・ポーターズと呼ばれていたショッピングモール――今や廃墟となったビルのすぐ近くだった。
やはり昔ホテルだった建物との間に広場がある。その真ん中に着陸したドローンのドアが、誰の指示もなくスッと開いた。
「どうしたらいい?」
トムソンが不安げな顔で訊いてきた。
「え? ええと……」
戸惑うマサヤ。
「ここに乗ったままだと、マンバとやらが捕らえに来るだろう。どこかに隠れるか?」
「おそらく、すでに我々の姿は見張られているはずです。下手な動きをしたら何をされるかわからない。しばらく様子を見た方がいいでしょう」
とりあえずそう応えた。ここは世界公園の中でも最も危険地帯だ。どこへ行っても命の保証はない。いわば人跡未踏のジャングルのど真ん中にいるのと同様だ。
不満そうなトムソンだが、特に反論はしなかった。キョロキョロと機内から外を見ている。しばらくするとその目が止まったまま見開かれた。
「どうしました?」
トムソンの視線の先を確認するマサヤ。そしてゾッとした。
20人ほどの男達が近づいてきたのだ。皆、手に銃やライフル、ナイフ、青竜刀、チェーン等の武器を持っている。表情はギラついており、明らかに敵意をむき出しにしていた。
「あ、あいつらは一般人ではないな?」
青ざめた顔になり訊いてくるトムソン。
「この地域で一般人を探すのは、ジャングルで大統領を見つけるより難しいですよ」
「マンバとやらの仲間か?」
「わかりません。たぶんこの辺りもいろんな犯罪者が屯していて、いくつもグループを形成しているでしょうから……」
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