SCENE3 地獄遊園地《ヘル・アミューズメント》中心部

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 マサヤは何か武器になりそうな物はないかと機内を見まわす。  しかし、必要最低限の装備しかない。もちろんマサヤも銃など携帯していなかった。そもそも、荒事に慣れていない彼では、武器があっても対抗するのは無理だろう。  男達はドローンを取り囲むようにして立ち止まった。1人、大柄な男が一歩前に出てギロリと睨んでくる。手には銃。  「誰だかわかんねぇが、降りて来いよ。ここはこんな立派なもので乗りつけるような所じゃぁねえ」  男が大声で言った。  トムソンは日本語がわからない。マサヤが通訳すると、ゴクリとつばを飲み込んだ。  「降りていったら何をされるかわからない……」  呟くように言ったが、ここに乗ったままでも同じ事だ。マサヤは意を決して一歩踏み出す。慌てるトムソンには、そこにいるようにと手で示した。  「僕たちはこのドローンで飛行中、無理矢理ここに下ろされた。マンバという男にだ。君達はマンバの仲間じゃないのか?」  マサヤが大柄な男に向かって言う。  「ほう、マンバの野郎か。てこたぁ、おまえらを捕まえちまえば、奴は困るんだな?」  男がニヤリとした。他の連中に目配せすると、彼らも怪しい目つきになって笑みを浮かべる。  「僕らはマンバのことは知らない。彼が何を考えているのかもわからない」  慌てて応えるマサヤ。マンバの名を出せばこの男達は怯むかも、と考えたのだが逆効果だったようだ。  「俺は知ってるぜ。野郎はこの地獄遊園地(ヘル・アミューズメント)を支配しようとしてやがる。俺たちの仲間も何人も殺られた。自由だけがここの取り柄なのにな。ちょうどいい、一泡吹かせてやろうじゃねぇか」  男達がまたこちらに向かって迫ってくる。
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