SCENE3 地獄遊園地《ヘル・アミューズメント》中心部

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 「抜け駆けはずるいぞ、ドラガ、レイラ!」  別の方角からなぜか楽しそうな声が聞こえてきた。  見ると新たに2人現れる。片方は(いにしえ)のロックスターのようにきらめいた服装で、両手に鞭を持っている。  もう1人は長身で痩躯。全身黒いジャージ。目だけ鋭く輝かせており、まるで大蛇のようだった。  「早い者勝ちだよ、ラック。もたもたしてると、俺が全部殺っちまうぜ」  ドラガと呼ばれた大男が応えた。  レイラという名らしい女性は「フフフ」と笑みを浮かべながら、相変わらず舞うような動きで次々男達を蹴りつける。ワンピースの裾がそのたびに揺れる様子が、優雅にさえ感じられた。  後から現れたラックと呼ばれた男が、もう1人に向き直る。  「行こうぜ、サーペン。俺らの取り分がなくなっちまう」  その2人も恐ろしいほどの強さだった。  ラックは両手の鞭を自在に操り次々に打ち据えていく。  サーペンは背中につけたホルダーから太い混紡のような物を取り出し、演舞のような動きで敵を打ち据える。  男達が倒されていく。だが、銃を持っている者達だけは背後にまわり込み、4人の動きを睨みつけるように見ていた。  「さて、仕上げにしよう」ドラガが笑う。「ここはレディに任せようじゃないか。レイラ、片づけてくれ」  言われたレイラが前に出る。その背後にラックとサーペンが立った。  残った敵は5人。銃やサブマシンガンを手にしている。今にもそれが火を放とうとしていた。  レイラはおもむろに手を上げた。そしてチラリとこちら――ドローンの方を向く。  「ねえ、そこにいるのは、あのラズのダーリンなんでしょ? よく見ておいて。私とラズ、どっちが早いか」  そう言ってニヤッと笑うと、レイラはさっと両手を翻す。あっという間に、どちらにも銃が握られていた。  向かう先の男達も銃撃を始めようとする。しかしそのコンマ何秒か前に、レイラの両手の銃が火を噴いた。
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