60人が本棚に入れています
本棚に追加
「抜け駆けはずるいぞ、ドラガ、レイラ!」
別の方角からなぜか楽しそうな声が聞こえてきた。
見ると新たに2人現れる。片方は古のロックスターのようにきらめいた服装で、両手に鞭を持っている。
もう1人は長身で痩躯。全身黒いジャージ。目だけ鋭く輝かせており、まるで大蛇のようだった。
「早い者勝ちだよ、ラック。もたもたしてると、俺が全部殺っちまうぜ」
ドラガと呼ばれた大男が応えた。
レイラという名らしい女性は「フフフ」と笑みを浮かべながら、相変わらず舞うような動きで次々男達を蹴りつける。ワンピースの裾がそのたびに揺れる様子が、優雅にさえ感じられた。
後から現れたラックと呼ばれた男が、もう1人に向き直る。
「行こうぜ、サーペン。俺らの取り分がなくなっちまう」
その2人も恐ろしいほどの強さだった。
ラックは両手の鞭を自在に操り次々に打ち据えていく。
サーペンは背中につけたホルダーから太い混紡のような物を取り出し、演舞のような動きで敵を打ち据える。
男達が倒されていく。だが、銃を持っている者達だけは背後にまわり込み、4人の動きを睨みつけるように見ていた。
「さて、仕上げにしよう」ドラガが笑う。「ここはレディに任せようじゃないか。レイラ、片づけてくれ」
言われたレイラが前に出る。その背後にラックとサーペンが立った。
残った敵は5人。銃やサブマシンガンを手にしている。今にもそれが火を放とうとしていた。
レイラはおもむろに手を上げた。そしてチラリとこちら――ドローンの方を向く。
「ねえ、そこにいるのは、あのラズのダーリンなんでしょ? よく見ておいて。私とラズ、どっちが早いか」
そう言ってニヤッと笑うと、レイラはさっと両手を翻す。あっという間に、どちらにも銃が握られていた。
向かう先の男達も銃撃を始めようとする。しかしそのコンマ何秒か前に、レイラの両手の銃が火を噴いた。
最初のコメントを投稿しよう!