SCENE4 遊撃捜査班

1/4
前へ
/146ページ
次へ

SCENE4 遊撃捜査班

 ラズとダイゴが飛び込むと、室内には渡部が1人で立っていた。大きなスクリーンとなった壁の映像を見ている。初老の男性が演説らしき事をしている場面だが、音声はない。  神奈川県警遊撃捜査班の司令室だ。  壁の反対側には大きな窓があり、みなとみらいの煌びやかな夜景と、対比するように世界公園(ワールドパーク)の汚れた灯りが均等に見えた。  「のんきに映画なんて観てる場合じゃねぇだろう、この鉄面皮っ!」  ラズが渡部にくってかかる。  「おいおい、落ち着け。こりゃあトムソン・シェイナードが国連総会で一席ぶってる時のニュース画像だ。エロビデオじゃない」  ダイゴがなだめる。  「エロだなんて言ってねえよ、バカゴリラ」  怒鳴るラズ。  「心配な気持ちはわかるが、今のところマサヤは無事だ。(イラ)つくな」  渡部が淡々とした口調で言った。  「なっ? 何言ってんだ?」ラズは戸惑いと微かに不安げな表情を見せながらも、気丈に応える。「あいつだってここの一員だ。どうなっても仕方ないっていう覚悟はできている。そんなことより、ヤマンバとかいうヤツがふざけたことやってんのが気にいらねぇんだよ、私は」  「マンバ、な?」  「どっちでもいい!!」  ダイゴとラズのやりとりを見て、肩をすくめる渡部。  「マンバとヤツが率いているグループについて、今わかっている事を確認するが、いいか?」  スクリーンの映像が切り替わった。
/146ページ

最初のコメントを投稿しよう!

60人が本棚に入れています
本棚に追加