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「そんなの待ってらんねぇよ。こういう時はそんな格好のいい部隊なんかじゃなくて、アウトローの方が適してる。何のために遊撃捜査班があるんだよ」
ふふ、っと微かに渡部が笑った。珍しく感情の欠片を見せている。
「まあ、おまえはそう言うと思ったよ。私も同じ意見だ。だから、カナダの部隊がやってくるまでは、うちのやり方でやらせてもらう、と上には伝えてある」
「話がわかるじゃねぇか」
ダイゴが笑い、ラズにウインクした。
「伝えてはあるが、了承は得ていない。つまり、これから下す命令は私の独断だ。失敗したら私が失脚するだけじゃなく、遊撃捜査班も解散だ。ダイゴ、ラズ、君達2人は極秘裏に地獄遊園地へ潜入し、地区内の状況を確認するとともに、トムソンとマサヤが拉致されている場所を特定しろ。可能であれば救出してもいいが、無茶はするな。カナダから来る特殊部隊へ情報を伝えることができれば十分だ」
「冗談じゃねぇ。思いっきり無茶させてもらうぜ。今私は、あのマンバって野郎の頭に弾ぶち込んで、中に詰まってんのがミソなのかクソなのか確かめたくてウズウズしてるんだ」
ラズの物言いに、やれやれと首を振る渡部。だが咎めることはせず、黙ってダイゴを見た。頼んだぞ、と言っているようだ。
ダイゴは肩を竦める。
「島への侵入に関しては、柳が協力してくれることになっている。打ち合わせは彼と連絡を取り合ってやってくれ」
チッと舌打ちするラズ。だが場合が場合だけに文句は言わなかった。
「行こうぜ」と促し自ら先に動き出すダイゴ。
彼についてラズが部屋を出て行く。
2人を黙って見送る渡部。難しそうな表情をしながらも、しっかりと頷いていた。
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