60人が本棚に入れています
本棚に追加
SCENE5 地獄遊園地《ヘル・アミューズメント》 元ワールド・ポーターズビル
マサヤとトムソンを後部座席に乗せた車は、昔ワールド・ポーターズと呼ばれるショッピング・モールだったビルの一階へと入り込んでいった。
一見クラッシックなガソリンエンジン車に見えるが電動だ。運転するのはドラガで助手席にレイラが座っている。
後方にはラックとサーペンの乗る派手なオープンカーが続いていた。金色に輝いており、まわりにネオンのような電飾がつけられている。こちらはホバークラフトタイプで微かに路面から車体が浮いていた。
更にその後ろには10台近く様々な車両が続いている。皆マンバの部下達だ。
元々駐車場だったらしく広いスペースがあった。かなり昔に乗り捨てられた車もチラホラある。そこには停まらず車はどんどん階を上って行く。
助手席のレイラが振り返り、マサヤを物珍しそうに見た。そして「へえ~」と笑う。
「な、なにか?」
オドオドとしながらもマサヤはレイラと視線を合わせた。
「ラズの男だっていうからどんだけハジけたヤツなのかと思ったら、ぜんぜん違ったね。あいつ、こういうマトモ系が好みなのか……」
「ラズのことを知ってるの?」
「世界公園であいつを知らないヤツはモグリだよ」
「い、いや、面識があるのかな、って思って……」
「さあ、どうかなぁ……?」
イタズラっぽく笑うレイラ。その表情は少女のようで、本当に可愛らしい。ラズもそうだが、とても平気で何人もの悪党を撃ち殺すようには見えない。
「ところで……」ドラガがチラッと振り返った。「ダイゴってヤツはベンチプレスで何キロ上げるんだ?」
「え?」戸惑うマサヤ。「い、いや、知らないけど、器具を使ったトレーニングよりナチュラルなトレーニングの方が好きだって言ってた。プッシュアップとか」
「ふんっ、ゴリラだけに科学的トレーニングはにあわねぇか」
「あんただってゴリラの一種じゃん」
レイラがアハハと笑いながら言った。
「俺は野生じゃねえよ、サイボーグって言ってくれ」
今度はドラガが得意げにガハハと笑う。
最初のコメントを投稿しよう!