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その時、先ほどニノミヤが座っていた辺りで突然音楽が鳴り出した。荘厳なクラッシックのようだ。
「ほう、これは面白い。侵入者だね?」
マンバの目が輝く。ニノミヤが頷いた。
「店舗棟の方だ。この辺りのはぐれ者達やそのグループでもないみたいですね。動きに荒さがない」
「協議会がそう早く動くとも思えないから、どこかのマフィアが潜伏させていた刺客か工作員かな?」
「そうかもしれません」と応えたニノミヤが機器を操作すると、マサヤ達がいるスペースの上方にいくつものホログラム・スクリーンが映し出された。
その一つに、建物内を密かに進むグループを追っている映像があった。あれが侵入者だろう。10人以上いる。確かに動きに無駄がない。しかし、こうやって監視されていることには気づいていないようだ。
「私が要所に仕掛けた監視カメラは、そう簡単に見つけられないからね。その代わり、ダミーのカメラを避けながら動いているんだろう。うまく侵入できていると思い込みながらね。滑稽なことだ」
マサヤの方を向きながら、ニノミヤが言った。どこか得意げだ。
「駐車場棟の連中を動かすと騒がしくなる。それに、手強そうだから手に余るかもしれない。君らで片付けてきてくれるか?」
マンバがそう言ってドラガ達4人を見た。
サーペンが機械のように頷く。ドラガとラックは嬉しそうに笑う。レイラは優雅にターンするとマサヤに向かって手を振った。
「だが、1人だけここまで上ってこられるよう残してくれ。俺がなぜマンバと名乗るのか、この2人にも見て理解してもらおう」
マンバの言葉を受け、4人が素早く部屋を出て行く。
「どういうことだ? 何が始まる?」
トムソンが事態について行けずにマサヤに訊いた。
「見ない方が、いいかもしれませんよ」
そう応えながらも、マサヤはスクリーンから目を離せなくなっていた。
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