SCENE6 世界公園《ワールドパーク》の港

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 「色男と金持ちは、6階建てのビルの5階の部屋にいる。昔映画館やらレストランやらがあったところだね」  しばらくすると、молитва(マリートヴァ)がそう説明する。  「ワールド・ポーターズの跡地だな」柳が言った。「なるほど、マンバが拠点にするには良い場所だ」  「間違いないんだろうな、ババア?」  ダイゴが訊く。  「ああ。違ってたらバナナを好きなだけ食わしてやるよ」  「てめえ、人をなんだと思ってやがる!」  「人? 冗談はおよし」  やり込められ「くっ!」と言葉につまるダイゴ。しかし、いつまでもそんなことをしているヒマはない。ラズに向き直る。  「行こうぜ。このババアの言ったことが本当かどうか、確かめるのも楽しみだ」  ラズは頷くと歩き出す。途中、молитва(マリートヴァ)をチラリと見た。  「うっとうしいことばっか言いやがるけど、この件についてだけは礼を言うぜ」  「ほう、少しだけ成長したね、小娘」  「うるせえ」と吐き捨てるように言うと、ラズはコージの頭をはたく。「おめえも行くぞ。早くしろ」  「痛てて……」頭を抑えながら彼がついてくる。「マサヤさん、大丈夫ですよね?」  心配そうな顔になっていた。コージも以前の事件の際にマサヤを知り、なぜか気に入っているようだ。  「知るかよ……」  言い捨てるラズ。ダイゴが間に入る。  「あいつのしぶとさはおまえも知ってるだろ? 俺らを海に下ろした後は、帰還記念パーティの手配でもしながら待ってろ」  了解、とでもいうように敬礼するコージ。その向こうで柳も準備を始めた。  よし、今から行くからな、マサヤ……。  小型船に乗り込む前に、ラズはもう一度地獄遊園地(ヘル・アミューズメント)の方を睨むように見た。
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