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「始めたぞ、ダイゴっ!」
ラズがそう叫ぶのと同時に、教会の壁が「ドガァ!」と音を立てて破壊された。トラックが飛び込んできたのだ。
運転していたのは筋骨隆々の大男。タンクトップから出た腕は丸太のようだった。坊主頭の真ん中に「LOVE」とだけ頭髪が浮き上がっている。ラズの相棒、ダイゴだ。
「待ちくたびれたぜ、セニョリータ!」
トラックのドアを蹴って降り立ったダイゴは即座に自動小銃を構え、男達を蹴散らす。
マットが慌てて外へ逃げていく。幹部と思われる男が3人ついていった。
「ダイゴ、そいつらは任せたっ!」
残っている敵を顎で示し、ラズがマット達の後を追う。
「もう少し残しておいてほしかったぜ」
「間違って、ラリッてる信者達を撃つなよ」
「こいつらか? まあ、騙されてたんだから仕方ねえが、犯罪に手を貸していたことは事実だ。多少は恐い思いして目を覚ましてもらわねぇとな」
その場に震えながらうずくまっている信者達を見下ろしダイゴが応える。そして自動小銃を乱射した。
敵の男達の体だけではなく、教会も破壊されていく。
走りながらその光景をちらっと見るラズ。
「チッ、建物ごとぶっ壊すつもりかよ、あのゴリラ」
マット達が逃げていったのは、世界公園の奥へと続く路地だった。何かの建物の残骸が散らばり、足場は悪いが隠れながら反撃するには適している。
マットについていた3人が散開し、それぞれの場所からラズを狙う。
銃声がいくつも響く。
だがラズは瓦礫から瓦礫へと飛び跳ね、狙いを定めさせない。その動きはさながら黒豹のようだ。
「そんな銃撃じゃあ私は殺せないよ。ゆるすぎて、リズムに合わせてダンスが踊れるぜっ!」
満面の笑みで発砲するラズ。きっちり3発の弾丸で敵3人の額に風穴を開けた。
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