プロローグ

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 あ~あ、張り合いねぇなぁ……。  瓦礫に腰を下ろし、ラズは煙草型になった薬草に火をつけ煙を吐く。これは喉にいいし精神安定作用もある。 07910ff3-7733-4daa-93ad-9bd2f9bc6906  ※イラスト:熊野菜名様より   熊野様:https://estar.jp/users/155933578  教会の方からの銃声が、ようやくやんだ。そして、のっそりとダイゴが姿を現す。  「よう、パーティは終わったか?」  ラズが声をかけると、ダイゴはフッと笑う。そして同様に煙草型薬草に火をつける。  「ああ、つまんねえ催しだった」  「ものたりねぇなら、帰ってウエイト・トレーニングでもやんなよ」  「そうだなぁ。そしてビールでもあおれば気分も晴れるか。ラズはマサヤと愛のレスリングか? 時間無制限何本勝負だ?」  ラズの頬が真っ赤に染まった。マサヤというのは彼女の恋人のことだ。  「なっ!?」目を見開きダイゴを睨むラズ。思わずホルスターに手を添える。「バッ、バカなこと言ってんじゃねぇ! てめぇも神の元に送るぞ、このゴリラっ!」  ダイゴは大げさに手を上げた。そしてガハハと豪快に笑う。  「そんなにカッカすんなよ、相棒。おまえ達がいい仲になってそろそろ半年だろう。結婚式はまだか、って気にしてる連中がたくさんいるぜ。それまで2人とも命があるかどうか賭けているヤツもいるがな。あとそう、ラズに男ができるなんて天変地異の前触れだ、って言って避難の準備を始めるヤツもいたなぁ……」  「今度そういうヤツら見かけたら連れてこい。賭けの結果や天変地異の前に、そいつの心臓に弾をぶち込んでやる」  ふん、と息を吐きながら夜空を見上げるラズ。  あいつそういえば、今日はどっかの国の要人のガイドだとか言ってたな? 無事終わったかな?  マサヤの顔が思い浮かび、ラズは慌てて首を振る。  向こうに背徳の街、世界公園(ワールドパーク)(けが)れた灯りが見えた。
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