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ノフィンは言った。
「そうだね……ケンノエさんはミール君にとって立派な守護霊であり、師匠に違いないそうだ、怪我が良くなったらケンノエさんの墓参りに行こう」
「はい、是非!」
そしてそしてリハビリをして体を慣らし、英気を養った甲斐もあり無事に完治し退院するミール。
「さあ乗って」「はい」
そしてノフィンはミールの美しいしなやかな手を引き白馬に乗せる。
「ハイヤ!」そしてノフィンは白馬を駆りて
徳島の海部に向かう。
徳島県海部郡海陽町。海と山に囲まれたとてものどかな村だ。
そこにケンノエの墓がある。
線香を上げて祈るミール。
するとミールの前にケンノエが現れた。
『ミール君、あの時突き放してごめん。でも君に教えたかったんだ。これまで君が危機を乗り越えられたのは君自身が強かったのではなく僕の力があったからだと』
「はい存じておりました。しかし事もあろうか私は自分の力だと驕り高ぶり、ケンノエ様の言う事をちゃんと聞いていたら……」
ケンノエはミールの頭を撫でる。
『わかってるじゃないかミール。これからは僕の言う事をよく聞いて、驕ったりしてはいけないよ』
「すみません……ケンノエ様……」
ミールは嗚咽を上げた。
そしてそしてーーー
「ありがとうございました皆様、ケンノエもきっと喜んでくれているでしょう」
ケンノエの母、セツカは二人に礼を言った。
「海部は緑豊かでとても良いところですね。ケンノエさんはここで暮らし、豊かな人間性を育んでいったに違いありません」
とミールは言った。
「あぁケンノエ……」
セツカは泣き崩れ、そこからミールが抱擁する。
「泣かないでください奥様、私もケンノエ様からは色々なものを貰いました。そしてケンノエ様は守護霊として私を守ってくださっています」
ミールの瞳からも涙が溢れた。
「行こうかミール君」
「はいノフィン先輩」
そしてノフィンはミールを乗せて「ハイヤッ!」と白馬を走らせる。
来た時と同じように海と山と街と、次々と超えてスイーツ城に帰ってきた。
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