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「さあて……どうして欲しい?」
ニタケ顔の主犯格が追い詰められた僕を舐めるように見回した。
「一対一だって言ったじゃないか! 約束だったの忘れやがって。お前たちみんな卑怯者だっ、離せっ、離せぇ!」
もがき暴れて最後の抵抗らしきを演じていたとき、僕が下校途中に追い抜いてきた生徒の一団がようやく来て、
女の子たちの悲鳴がこだまする。
僕の額からの出血は、間違いなく顔半分を見苦しくしていたはずで、
あの場にいた全員が多勢に無勢だと気づくまでに時間はかからなかった。
寄ってたかってひとりの下級生をいじめている図が、奴らを冷静にさせた。要するに、それが僕の作戦だった。
「もうロニー。最初っから、あれが欲しいって言えばよかったのに。オマエがムダに暴れるから、こういうことなるの」
事実と違うの云々より、
主犯格が猫撫で声で僕の頬をペチペチ叩いたことのほうが気分を悪くさせた。
「おい、行くぞっ」
手下共々、その4人には気になる女の子がいたのか今度は全員、女の子に付き従う本物のフンとなって、僕の前から去っていった。
「は〜、はっ」
安堵のため息と奴らの豹変ぶりを笑いたいのがごちゃ混ぜだったが、
僕は子カラスの元へ。
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