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ダーリオとハイタッチのあとは次のチームに場を譲り、興奮覚めぬ僕たちは、新しくきた音楽に身を委ね、今度はギャラリーとしてみんなと同じステップを踏んでいた。
振り返るといつの間にか思わせぶりな顔の女の子がいて、踊りながら僕の周りをクルクルと回り始めた。
彼女に適当にステップを合わせながら、隣の学校の子だと思う。面識がなかった僕は、
ダーリオに目配せしてみる『コノコダレダ?』
顔が広い彼も『知らない』といった表情で肩をすぼめてニヤッと笑うと、まるで『うまくやれよ』と言わんばかりで、僕から離れて行った。
残された僕は戸惑った。
近づいてくる女の子は、たいていダーリオが目当てで、僕に探りを入れてくる。「顔のいい彼が、どうして誰とも付き合わないのか」と。
告白されても、彼は「みんなに優しくしたいから、誰とも付き合わない」としか言わないし、実際にその通りなのだ。
改めて彼女を見る。
ダーリオを追いかけて行くこともなく、むしろ嬉しそうに僕のことを見つめてきて、そこで恋に落ちた。
周りの景色も音楽も消えて、彼女もスローモーション。
笑いかけてくるその目は、僕が前から思い描いていた通りの〝エジプシャン・スタイル〟だった。
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