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「来週は、おばあちゃんの家に行くから会えないの」
サーシャが僕の耳元で囁いた。
「そっか。残念」
僕は名残惜しくて彼女にキスを浴びせた。何度も何度も。
それが〝僕たち〟として語れる最後になった。
そして、その翌週――。
サーシャが来ない鬱憤を紛らわしたかった僕のパフォーマンスは、荒々しくて完成度が低かった。
でも――、
「キャー、ロニー! 今日はすっごくダイナミックね、どうしてよ?」
同じクラスの女の子が3人、ダーリオの親衛隊のような位置づけの。
僕のバク宙のことを言っている。
「どうも。できるから試してみた」
素っ気ないはずの返事なのに、3人とも珍しく僕のそばから離れない。
「もう一回見せてあげたら?」
ダーリオが余計なことを言うと、女の子たちは目を輝かせてしまう。
「やだ」
本当はサーシャに見せたかった僕。
「じゃあ、教えてよ。どうやったらできるの? ほら、わたし、ジーンズだから、ちょっと支えてくれたらできるかも」
やる気満々の女の子が、バク転でもしたいのか、助走を始めようとした。
「おい、待てよ。その大きい胸に見合うくらいの筋肉がなかったらムリ。やめとけって」
それまで女の子の胸なんて意識したことはなかったのに、サーシャのせいだ。僕はその子を上から下まで男の目で眺めてしまった。
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