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僕はサーシャにいいところを見せたかった。
ついでにほかの女の子にも見せたかったのかもしれない。
そうすれば、
彼女を僕に繋ぎ止めておける。
彼女がダーリオに心変わりすることもない。
僕はいい男だって、カッコつけたくて。
最低だ。
あれは遊びだったと、実は彼女のことだけを考えていたんだと、せめてもの言い訳すら、僕にはできなかった。
サーシャの柔らかい胸のことを考えていたはずなのに、途中からほかの女の子の胸に置き換わっていた。
それはただの自己顕示欲と下品な下心。
ほかの男といちゃこらしている彼女を見たら、僕だって同じ気分だ。
ごめん。
謝りたいのに、彼女はどこにもいない。
それに家も電話番号も知らない。
彼女の学校の前で待ち伏せする勇気もない。
そのあとの僕は、翌週も翌々週もあのゴミ置き場へ通っていたけれど、彼女は来なかった。
もう絶対によそ見はしないから――。
僕が自らの胸に刻みつけることになる痛みだけを残して、サーシャは永遠に去ってしまった。
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