13人が本棚に入れています
本棚に追加
僕のほうは応戦のフリをするだけ、あくまでも重心は前に出さず、
アゴを引いて、奴のパンチを額で受ける。
もろに当てられた衝撃で後ろに飛ばされながらも、元から後退の算段だった。
取り巻き連中は僕が逃げないように散らばって立っていたが、
僕の着地ポイントには、最初から目をつけていた子分のひとりがいて、ソイツに肩を受け止めてもらうと、すぐに振り向き、体勢を立て直す。
「触んじゃねーよ!」
僕は汚い言葉でソイツのことを両手の勢いで突き飛ばし、さらに煽った。
「カモン、カモン。オメーもやりてぇだろう! ザコもいいトコ見せてーよなっ、来いよっ」
僕は子分とやらないとは言っていない。遠慮なくソイツの下半身に組み付いて、地面に押し倒し、捻じ伏せにかかった。
この挑発に他の子分も加わったので、けっきょく僕は、3人がかりの羽交い締めに合い、献上品のごとく彼らのボスの前に突き出された。
最初のコメントを投稿しよう!