博士の大発明

2/5
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
「やりましたね博士!」 「ああ。この時代に完成した事に意義があると思わんかね?」 「全くその通りです!」  地球滅亡の危機を救うために今この時タイムマシンが完成した。これは運命だ。我々の使命なのだ。 「行きましょう、過去に。そして地球を、人類を救うのです!」 「よし、行こう」  一見家庭用サウナのような、トイレほどの小部屋に私と博士は入った。前面にはモニターやら計器類がはめ込まれている。 「博士、何年に行きますか?」 「そうだなあ。2023年にしよう」 「そうですね。まだ日本が平和だった年ですね」 「私が産まれた年なんだ」 「あ……左様ですか」  今から50年前。日本は戦争なんて対岸の火事くらいにしか考えていなかった。私が産まれた2033年から日本も徴兵制ができた。憲法第9条は破棄され、自衛隊は国軍となった。そうだ、それも阻止しなければ。憲法第9条は守らなければならない。 「出発するぞ!」 「はい!」 「シートベルト忘れてるぞ」 「すみません!」  シートベルトをガチャリとはめた途端、部屋が揺れ始めた。前後左右、上下斜めと激しく揺れた。  時という大海原に翻弄され、逆らい、目指す目的地は2023年の日本。無事に着いてくれーー!  振動が止まった。 「着いたんでしょうか」 「外に出て確認しよう」  踏ん張っていたせいか足がおぼつかない。壁を伝いながらドアを開けた。 「眩しい……」  5年ぶりの太陽は眩しすぎて目を開けていられなかった。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!