博士の大発明

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 私たちの世界と平行して、殆ど同じ世界があるという。それがパラレルワールドだ。一見同じように見えても何かが違う。そんな世界があるとは聞くが、SF小説の中だけの事だと思っていた。  しかしこの世界は私の知っている世界ではない。言葉も文化も同じだが全くの別物だ。 「どうしましょう博士。これじゃあ歴史は変えられません」 「だな。じゃあ戻るか? まあ元の世界に戻れる保証などないがな」 「ですよね……だったら……」  私は博士と顔を見合わせた。 「ここで住もう!」  私と博士は同時に同じ言葉を発した。  そうだ。元の世界に戻っても食料はないし放射能まみれだ。そんな所へ戻るよりここで一生平和に暮せば良いではないか。  それに未来の惨状を広めて世界の指導者を動かすなんて面倒臭い事をしなくて済んだ。ラッキーだ。 「素晴らしい発明にバンザイ!」 「バンザイ!」  私と博士は喜び踊った。博士についてきて良かったと、初めて思った。 〈終〉
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