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「じゃあさ。ざっくり言えば、西行教授は貴方みたいなデータの存在がこっちの世界に来られるような研究をしていたってこと?」
私の問いに彼女は頷く。
「その通りです。色々と細かい方法は今ここでお伝えしても分からないと思うので、説明は省きます。ただ、三次元空間の情報を色々と教えてもらう為の指導役が必要であり、それが貴方だったということです」
ふーんと私は何となく聞いていたが、ふと疑問に思ったことがあった。
「ねぇ、瀬織。何で貴方は私をモニターに選んだの? 他の人じゃ不満だったの?」
その質問を聞き、彼女は気味の悪い笑みを浮かべた。
「西行教授の最終的な目標は『宇宙』の形を知ることです。先程の説明から分かる通り、4以上の次元に行けば3次元空間の形が分かりますからね。
その宇宙飛行士ならぬ次元飛行士役に選ばれたのが私でした。次元ごとのジャンプを繰り返して、4以上の次元に到達するのが私の役割。
『そうだ、4以上の次元に行こう』ってやつです。
でもね、旅って一人じゃ寂しいんです。だから、私は教授にお願いしました。
『せめて、一人でいいから友達も連れて行きたいの。その友達は私が選びたい』って。
情報系の学生って、むさい男子学生しか居ないんですもん。バイトの募集をかけてもデバイスオタクの男子ばっかり来るし。
私はね。同じくらいの年齢の女の子の友達が欲しかった。楽しく女子トークができるような友達がね。この期間は私が三次元の情報を得る期間であると同時に、貴方が私のお友達として相応しいかのテスト期間でもあったの。
結果? 勿論、合格です♡ 貴方と一緒に居て、私はすっごく楽しかった。
貴方と一緒なら、私は四次元空間でも退屈にならずに済みますね!
あら? 何、逃げようとしてるの? 駄目ですよ、そんなの……。
さぁ、私に付いてきて。大丈夫、本当に一瞬だからね」
そして、瀬織は私の背中に腕を回し、強い力で私を抱きしめた。
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