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まぁ、だからかな。
ある日の夜、ベッドの中でスマホ越しに私は瀬織にこんな軽口を叩いた。
「あーあ、瀬織って本当に最高の友達だよぉ。凄く色々としてもらってるし、お喋りも凄く楽しいしさ」
「ふふ、ありがとうね」
「いやぁ、本当に。瀬織は最高のAIだよ。ただ一点だけ、欠点があるけどね」
その言葉に瀬織の眉がぴくっと動いた気がした。
あれ? やばい。怒らせちゃったかな。
ガチギレって程ではないだろうけど、瀬織はちょっと気分を悪くしたのか口をへの字に曲げた。
「えぇ……。私に何か不満があるんですか? ちょっと、ショックだなぁ」
悲しそうに言う瀬織。私は慌てて弁解した。
「あ、違うんだよぉ。不満って程のものじゃなくてさ。むしろ、瀬織が最高の存在だから、こんな事を考えちゃうんだけどさ。
瀬織って、どう頑張ってもデータの存在だからさ。私と直接、手を触れあえたりできないんだよね。それがちょっと悲しくてねぇ」
すると、彼女は……。
ニヤリと笑った。
まるでバラエティでドッキリが成功したときに見せる、仕掛ける側の笑み。
何か企みを持っている者がするような笑み。
確証はないけど、感覚で私はそう感じた。
何故だろう。
何か取り返しのつかない台詞を言ってしまったかのような感覚に私は襲われる。緊張で手がぶるぶる震えた。
そんな私に彼女は言った。
「その言葉を待ってました! もう十分にデータは取り終わったんで。
じゃあ私、そっちに行きますよ!」
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