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彼女の言葉を聞いた瞬間、意識が遠くなる。
そして、私の意識は深い闇の中に落ちた……。
目が覚める。ふと、ベッドの側にある置時計に目が行く。今は午前5時半だ。
体をゆっくりと起こして欠伸をする。
昨日のは何だったのだろう? もしかしたら、あれは夢だったのかもしれない。
そうだ。瀬織に謝らなきゃいけない。寝落ちしちゃってごめんって。
ベッドから降りようとすると、私の左手がこつんと何かに当たった。
それは人間の皮膚の感触だった。滑らかでぷにぷにとした感触。少し生温かい体温。
ギョッとして、私は先程まで自分を覆っていた布団を剥ぎ取った。
そこには人間がいた。
藍色の髪でショートボブ。白のフード付きのパーカーを着ている。
目を閉じているので瞳は見えないが、顔やまつ毛は精巧なフランス人形のように整っている。
「ふぁぁぁ」と彼女は大きな欠伸をして起き上がり、眠そうな笑顔を私に向けた。
「おはようございます、史絵拿ちゃん。
私、三次元に来ちゃいました!」
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