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アイ
数日後、五条院家にメイド型のアンドロイドが届いた。だが、彼女は全くメイドではなかった。それどころか、アンドロイドですらないのかもしれなかった。
五条院家の主は、特注のアンドロイドを制作させていた。元々のプログラムを全て削除し、特別な記憶を埋め込んでいたのだ。それは、16歳で病気によって亡くなった娘、アイの記憶だった。
アイが亡くなる数週間前から、最先端の特殊な機器でアイの記憶をデータ化し、保存しておいたのだ。
当然、顔も完全に再現していた。
「お父さん……?」
「アイ、アイなんだな……!」
二人は泣きながら抱き合った。
完全にアイの記憶を継承し、思考も感情も完全に再現した目の前の少女は、父と抱き合い、涙している。
この少女が人間なのか、アンドロイドなのか。アサには分からなかった。
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