Summer Kiss

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 叔母の家に着いてからの、叔母の態度は何処となく余所余所しさを感じられた。声のトーンが暗く、言葉も敬語混じりなのである。まるで、腫れ物に触れるようだった。  両親の離婚原因であるが、恥ずかしながら父の浮気である。叔母は父の妹だ。 叔母からすれば「お兄ちゃんが申し訳ないことをした」と言う罪悪感を甥御であるボクの顔を見ているだけで擽られてたまらないのだろう。  ボクが(ねぐら)とする部屋に荷物を置くと、明秀がスイムバッグ片手に部屋に突入してきた。 「太一ちゃん! 海に行こうぜ!」 ボクがこの田舎に来ると、近くの海で明秀と泳ぐのが恒例行事になっている。 両親の離婚問題で頭がグチャグチャになってはいるものの、海で泳げる環境にある以上は泳がないと損だ。ボクはトランクの中から水着とタオルを取り出した。  ボク達は白砂青松の砂浜にて水着に着替えていた。この砂浜であるが叔母の家の裏にある場所で、海水浴場として解放はされてない。プライベートビーチのようなものである。  明秀は誰も来ないことをいいことに、全裸になって水着に着替えていた。 明秀の体型であるが、全体的に筋肉質でほっそりとしていた。しかし、骨ばっておらず体のラインは滑らかで、全体的に均整の取れたものであった。肌も艷やかで、小麦色に日焼けしており健康的で凛々しく色気を醸し出していた。 ちなみにボクの体型は、丸みを帯びてだらしない運動不足ボディだ。 明秀とは違い、凛々しさなぞ微塵も感じない。  ボクの小学校であるが、修学旅行が五月に開催される。その時の集団入浴で皆の「前」を見たのだが、大小・太さ細さ・毛の有無、千差万別であった。 それを知ってからボクは「前」を見られることが恥ずかしくなってしまった。でも、他人の「前」は気になる。今回は明秀の「前」は一年前に比べてどうなったかが気になってたまらないのであった。  ボクがチラりと明秀の「前」を見ようと目線を動かした時には、もうダサい紺色のボックス水着を履き終えていた。  ボクは「前」を見られることが恥ずかしい。今年からはラップタオルを腰に巻いて水着に着替えていた。 去年まで平然と丸裸になって着替えていたのに、どうしたのだろうか。明秀は気になったのか、ボクの前に座って着替える様をじっと眺めていた。
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