三色団子

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 「三色団子、なんかいいじゃん。それに、一緒に食べたら、仲良くなれる気がする。」  前に公園で聞いた、坂野くんが言っていたことを思い出した。  なんなの、それ。仲良くなれる? 私とも仲良くしてくれるの? 耳が聞こえにくくて、なかなか会話の輪に入りにくい私を?   頬があたたかく濡れた。泣いていた。  私、坂野くんと友達になっていたんだ。  坂野くん、私、他の人とも友達になれるかな。一緒に三色団子を食べたら。  「ありがとう、坂野くん。」  静かに私の髪を揺らす風は、たしかに冷たかった。冬の訪れを感じさせる。けれど、心は温かかった。  ブランコに背を向けて帰る。  いや、伝え忘れていたことがある。  「お誕生日おめでとう」  
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