身も心も愛される*

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 目が覚めた。ぐっすりと眠ってしまったようで、頭はすっきりしている。隣に人の気配を感じて見ると、須藤が眠っていた。須藤……?   「須藤!?」  なぜここで寝ているんだ?あれ、抱きしめられていて動かせない。こんなところ見られたら……マズイ、何もしてないけど何だかマズイ。 「須藤?どうしてここにいるんだ?おーい!」 「ん……」  目を開けた須藤がこちらを見た。 「おはよう、りと」 「おはよう、須藤。これはどういう状況だ?」 「りとが寝てる姿を見てたら眠くなってさ、俺も寝ちゃった」 「寝ちゃったって……」 「おはようのチューは?」 「しない。お母さんが来たらマズイだろう?」 「ただ一緒に寝てただけなんから大丈夫だって。チューしてよ」 「一度だけだぞ」  唇に軽く触れると「今は我慢するか」と呟いた。 「眠れた?」 「うん、よく眠れたよ」 「ならよかった」  優しく笑いかけられて心臓が高鳴る。朝起きて、隣に好きな人がいるって幸せかもしれない……。マズイと思っていたけど、須藤の言う通りただ寝ていただけだから問題ないか。 「何か食べれる?」 「うん」 「じゃあ用意する。りとと一緒に暮らしたらこんな感じなのかな?」 「一緒に眠って一緒に起きる?」 「そう。憧れるな」 「そうだな。いいと思う」 「じゃあ約束。高校卒業したら一緒に暮らそう」 「うん、約束だ」  小指を絡ませて指切りげんまんをした。絶対に実現できるように前を向こう。須藤って不思議な奴だよな。自然と立ち上がれるような、そんな言葉をさり気なく僕に与えてくれる。僕にはもったいないくらいできた人間だ。 「好きだよ、須藤」 「どしたの?急に?」 「いつもありがとう」 「そんなお礼言われるような事してないけど。あー、りとに好きって言ってもらえて幸せ。りと好き。このまま抱きたいわ」 「いや、それはダメだろ」 「もうすぐ誰もいなくなると思うけど?」 「だって……」 「りと、エッチしたい」 「須藤……」 「りとの心も体も全部欲しい。俺にちょうだい」  好きな人にそんな事を言われて、嫌ですなんて言える人はいるのだろうか。 「分かった。須藤にあげる」 「よし、じゃあ腹ごしらえしよう。体力使うからな。たくさん食べろよ?」 「うん」  めちゃくちゃ緊張してきた。階段を降りてまた知らない部屋へ連れて行かれた。そこはダイニングルームのようだった。僕達を見たお母さんに挨拶をする。 「りとくんは、和食派?洋食派?」 「洋食ですかね」 「すぐ用意するわね」 「お母さんがやってるの?」 「そうだけど?」 「人を雇ってると思ってた」 「家事好きな人だから。俺達はお互いに仕事をしてるだろうから分担だな」 「須藤できるの?」 「できない。りとはできる?」 「やった事ないな」 「何とかなるだろ」 「練習しないといけないな」 「ごめんね、お待たせー」  プレートにパンとサラダ、スクランブルエッグとウィンナーが盛り付けられていて、スープとフルーツまである。 「すごい、お店みたいですね」 「りとのために張り切ってやってるだけ。初めて見たし」 「そういう事言わないでよ。りとくんたくさん食べてね。おかわりあるからね」 「ありがとうございます。いただきます」  クロワッサンから食べてみる。サクサクしておいしい。昨日食べていなかったからか食欲がすごくて、あっという間に食べ終わってしまった。 「りとくんコーヒー飲める?」 「はい、大丈夫です」 「ちょっと待っててね」  食後のコーヒーまで頂いてしまった。なんて優雅な朝なんだろう。 「さてと、出かける準備しなきゃ。りとくんゆっくりしていってね」 「いろいろとありがとうございました」 「全然。いつでも頼ってくれていいからね」 「ありがとうございます」  にこやかに微笑んで部屋を出ていった。 「りーと」  須藤の方に顔を向けるとキスをされた。 「こら、なにするんだよ。お母さんがまだいるだろ。それに片付け終わってないし」 「ずっと待ってるのに」 「ほら、洗い物するぞ」 「いいよ。置いてて」 「ダメだ、きちんとしないと」  文句を言う須藤を引っ張ってもキッチンへ連れて行く。 「キッチンもやっぱり大きいな」  キッチンとダイニングが分かれているというのがまず驚きだ。 「勝手に使ってもいいのか不安になってきた」 「はい、もう置いといて俺の部屋行こう?」 「須藤がいるから大丈夫か……」 「全然諦めないじゃん。さっさと終わらせたほうが早いな。俺が洗うからりと流して」  「分かった。予行練習だと思えば楽しいと思わないか?」 「そうだな。こうやって二人で皿洗いすんのいいな」 「二人でやったら何でも楽しくなるから不思議だ。やっぱり僕は須藤のことが好きなんだろうな」 「不意打ちでそんな事言うなよ。はい、終わり。ふきん出す」 「うん、よろしく」  二人で洗った食器を拭いて食器棚の中に入れた。食器もたくさんあるなと驚いていると、須藤が後ろから首筋に吸い付いてきた。 「ちょっと……須藤?」 「早く行こうよ」 「分かったから」  須藤の方を向くと顔を上げられてそのままキスをされた。食べられているみたいな激しいキスに変わって腰が砕けそうになった。 「アッ……須藤……待って……」 「ん?」 「須藤の部屋でしたい」 「分かった」
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