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二人でシャワーを浴びて、須藤の服を借りることにした。
「ダボッとした服を着てるりとってかわいいよな」
「体格では須藤に勝てん」
「りとって丁度いいサイズ感なんだよな。抱きしめた時にすごいフィットする」
「それはよかった」
「帰るよな?家まで送るよ」
「いいよ、大丈夫だって」
「大丈夫じゃねーよ。心配だから送らせて」
「分かった。じゃあ頼むよ」
日が落ちて少し薄暗くなった道を一緒に歩く。たった1日で環境が大きく変化した気がする。
「体大丈夫?」
「少し腰が痛いけど、まぁ大丈夫だ」
「ごめん。次は加減する」
「できるのか?」
「……無理かも」
「別にいいよ。我慢しなくても。僕もしたいし……」
「りとー、襲いかかりたくなる」
「やめろ」
「今度さ、りとの家に挨拶に行ってもいい?」
「今日じゃなくて?」
「いろいろ準備があるから」
「いいよ。伝えておく」
「好きになってもらえたらいいんだけど」
「大丈夫だよ。僕が好きなんだから。言ったことあるか分からないけど、両親と血が繋がってないんだ」
「そうだったんだ」
「生まれてすぐに引き取られてるから実の親のことは知らないし、両親が親だと思ってるんだけどさ。両親のことはとても大切だし、須藤にも好きになって欲しいと思ってる」
「りとを育てた人達なんだから絶対にいい人なんだろうな」
「自慢の両親だよ」
「俺もちゃんとしなきゃ」
「須藤が挨拶に来たいって言ってくれて嬉しかった。ありがとう」
僕の家までの道のりはあっという間で、明日学校で会えるというのに離れがたい。
「送ってくれてありがとう」
「気にすんな」
「気をつけて帰れよ?」
「分かってる」
「じゃあ、また明日」
「うん、また明日な」
繋いでいた手を離して手を振った。遠ざかっていく須藤の背中をしばらく見つめて、家の中に入った。
バタバタと母がかけてきて、思いっきり抱きしめられた。「無事に帰ってきてくれてよかった」と言う母の声は少し震えていた。
「ただいま、心配かけてごめん」
抱きしめられたのなんていつ振りだろう。さすがに恥ずかしくなった。
「手洗っておいで。ご飯の準備すぐするから」
「うん、ありがと」
笑ってそう答えた。帰ってきた。心の底から安堵して手を洗うために洗面所に向かった。
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