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「嘘っ!もしかしてうまくいってない?」
凪咲は、心配そうに私の両肩をゆすった。
「ううん…デートはしてくれるけど、手つないだりはなくて…」
「えー?嘘、全くないの?」
華乃も食い気味に顔を近づけてきた。
「一度だけ…映画見に行ったときに…手つないだけど…」
私がそう答えると、さらに食い気味に華乃が「どっちから?」と聞いてくる。
私がその時のことを思い出して口元を緩ませて「敦矢から…」と答えると、今度は凪咲が私の頬を人差し指でつついて「やだ、愛依ったらにやけちゃって…可愛い」とからかった。
その後も二人からの事情聴取によって、私は"手つなぎ記念日"を吐かされた。
敦矢が手をつないでくれたのはその映画館デートの日だけで、それもそんなに長い時間でもなかったし、その後は一緒に出掛けても手をつなぐことはなかった。
夏休みだって何度もデートしたのにな…
そのことを話すと「何でだろうね…敦矢はクールだからな」「敦矢にそれとなく聞いてあげようか?」と、二人は私のためにそう言ってくれた。
友達を使って探りを入れるなんてことはしたくなかったので、私は気持ちだけ受けとることにした。
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