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 「スゲーかっこ悪いんだけどさ…俺…汗臭くて嫌われたらどうしようとか、手汗気持ち悪いよなとか考えちゃって…」  「え!?」  あの冷たい態度はそういうこと?  いつもクールで余裕そうにしている敦矢が、そんなことを考えていたなんて…  「意識したら余計汗かくし…女子はたいてい嫌がるだろ?汗臭い男…」  まさかのカミングアウトに、私は正直驚いた。  そして、なんだそんなこと?と拍子抜けする。  そんなこと気にしてくれていたなんて…  嫌われたくないだなんて…    「かっこ悪くなんてないよ。人間だもの!汗かくよ。それはお互い様だし、臭いなんて思ったことない…むしろ好き!手汗やばくても、私は敦矢と手つなぎたいよ」  私は敦矢を見上げて、真っ直ぐに見つめてそう言った。  顔が熱い…心臓が口から飛び出してきそうだ。  敦矢は一瞬驚いた顔をした。それからすぐに照れながら笑って「むしろ、好き?」と言ったので、私は「変態発言かな…」とふへへと笑った。  リリリリリ…キリキリキリ…    空き地から虫たちの求愛の歌が聞こえてきこえてくる。  「今日、珍しく生物眠くならなかった」  「俺も」  「おじーちゃん、良いこと言ってたよね」  「たまに良いこと言うよね」  「今日はちょっと哀愁ただよってた」  「うん」  そんなことをポツリポツリと話しながら、私達は手をつないで並んで歩いた。  私はうっかりニヤけてしまう口元を誤魔化すことに必死だったけれど、もしかしたら敦矢も同じかもしれないなと思った。  
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