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Ep03:サリヤス王妃の仇討ち
なあ、クルークよ
聖女様は寝ているようだから
静かにきけよ。
なんだよ兄さん
兄貴はあれこれ国王に言ってたが
結局のところは、自分の惚れた町娘を
置いて行くわけにいかないから
あんな事を言って、残ったんだろう。
そうだよ、けど
結局は誰かが国と城を守らないと
いけないから丁度良かったんじゃない。
なぜ町娘と恋に落ちたんだ?
マレリッタ市街にある酒場で出会ったと
聞いたよ。
おしのびで街にいって、酒場で働いていた
娘さんに一目ぼれしたんだろう。
兄さんらしいよ。
なら、国王は兄貴とその娘との結婚を
許すわけないが...
あの一途な兄貴が諦めるわけないよな。
ペイシャク兄さんと違って
純粋だからね。
どういう意味だよ
俺は国に尽くしてるんだぞ。
どうとでも言えば
ならば王位継承は俺かお前だなぁ...
僕はいいよ
兄さんが継げばいいじゃないの..
ただ、国王も気が変わると
なんとも言えないよな。
そこだ!だから確実な方法があるんだ
昔からの言い伝えでは
聖女様と結婚する場合は特別だとか。
聖女様と結婚したものが王位を継承出来るという
そういうのがあるらしいぞ。
ピッチカートは寝てるふりしながら
二人の会話を聞いていた…
ピッチカート様がその気がなけりゃ
無理だろうさぁ、
だからお前もサポートしろ!
好きにしなよ、僕には関係ないし
王位継承には興味ないからさ。
強くなって国民を守る事をしたいんだよ。
母上を殺した、あいつを倒したいんだ。
お前はまだそんな事言ってるのか?
お前が勝てる奴じゃないよ
母上には申し訳ないが、まともにいけば
お前なんて簡単にやられるだろうよ。
僕はたとえ死んでも仇をうつ
だからジヴァ様に鍛えてもらいます。
まあ、好きにすればいいさ
無駄死にだけはするなよ。
ピッチカートは目が覚めたふりをして
外に出た。
御者しているジヴァの横に座った。
『どうされましたかピッチカート様』
「ねえジヴァ私は聖女なんでしょう」
あまり自覚ないけど強いの?
『はい、その時がくれば分かりますが
剣の達人でございます』
『もう、私も敵いませぬ』
「敵わないってあなたが剣術を
教えてくれたんでしょ?」
そうですが、生まれ持って聖女として
誰よりも優れた力と技をお持ちです。
なにより、聖女様が操る魔法剣は
どんな剣よりも優れておられます。
ただ、
敵の勇者がどれだけの力があるのか
私はまだ見ておりませんので。
正直わかりませぬが..
こちらには聖女様をサポート致します。
優秀な者たちが居ます。
スピカは白魔剣士
イプシロンは黒魔剣士
双子の剣士は見事にシンクロ致します。
ゴーシェナイトのパワーは強力な
魔法をも跳ね返す力があります。
『頼りになる者でございます』
「みんな良い仲間だね
その時は頼みますね」
ピッチカート様
その後、前世の記憶はどうでごさいますか?
うん-んあまり良いことは見えないの...
良くない事ばかり、悲しい事や怒りが見える。
突然フラッシュバックするの
大丈夫でごさいますか?
何かありましたらなんなりとお申し付け下さい。
「ジヴァ、それとね
王妃様は誰に殺されたの?」
『なぜ、そのおはなしを?』
さっき馬車の中で寝ていたら二人が
話しているのが聞こえたの
そうですか……
それは話せば長くなりますが
国王がまだ王子の頃...
今の3人の王子がまだ小さな
お子さんのころでした。
今の国王と私とで魔物退治をしていた頃です。
敵の一番の強者を倒そうとした時
その敵がサリヤス妃殿下を立てに
自らが助かろうとしたのです。
我々が奴の腕を切りつけた時に
妃殿下を刺して逃げて行きました。
そのまま妃殿下は助からず
天に召されてしまいました。
子供のときのクルークは泣き叫び
母の元を離れようとはしなかったのです。
悲しい出来事ですね
クルーク王子は辛い思いをしたのですね。
「その者の名はなんというの」
『テーオーソロスです』
「テーオーソロスというのですか」
『憎き、そして最強の魔族です』
「いつか戦う時がくるかもしれませんね」
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