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微睡みの至福
じいちゃん 着流し姿で
そや 寝に行ってくるわ
じいちゃん クラシックコンサート
聴きに行くのではなく 寝に行く
音の調べ いつしか 心地よく
微睡んで
覚醒と微睡み その合間を
いったり きたり
じいちゃん お気に入りの時間
時が経ち
いつしか 至福の時間 持てなくなった
じいちゃん 耳が遠くなって
心地よい微睡み もうないと思ったのか
クラシックコンサート 封印した
いまでは ぼくが クラシックコンサート
聴きに行くようになった
音の調べ ハーモニー
響きが ずしんと
心の中 満ちてくる
ぼくの お気に入りの時間
ある時の クラシックコンサート
音が弱くなった その瞬間
じいちゃん 奏者の 後ろを
ゆらり ゆら ゆら
いつもの着流し姿で
ゆらり ゆら ゆら
歩いているよ
切なく 寂しい顔
ゆらり ゆら ゆら
なぜ ここに
幻影 音の
調べに惑わされた
空蝉
じいちゃん 消えていた
家で待つ
じいちゃんの想い
受け取ったよ
つぎは
じいちゃん 一緒に 行こう
クラシックコンサート
耳が遠くても 至福の時間
味わって
ぼくは 聴きに行くから
じいちゃん いつものように
寝に行こう
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