山に埋められた私の死体

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 私たちは自分たち二人のうちのどちらが「そこ」に埋められているのかを、確かめに行くことにした。  母が私たち双子のうちのどちらかを殺して山に埋めたと言うのだ。十四歳になったばかりの私たちが、何だかとても厭になったのだ、と。  けれど私たちは二人ともがそろってそこにいた。  母に訊けば「私はたしかに娘を殺した」と言うので、どちらかが死んで埋められているのはほんとうのことのようだった。  幼い頃に左足を失くし、右足だけになったのが姉の美羽(みう)。右足を失くして左足だけになったのが妹の佐羽(さわ)。  山に埋められている娘の足のどちらが欠けているかで、美羽と佐羽のどちらが殺されたのかがわかる。  私たちはシャベルを持って山に向かった。
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