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第2章 4 ~友だち1~
梢の通夜には、結や圭、大樹もやって来た。父に続いてまた葬儀での再会だ。
「真代、何かして欲しいことは? 遠慮しないで何でも言うさぁ」
「ありがとう。私は大丈夫だから」
「結、お前が泣いてどうすんだよ。大変なのは真代なんだぜ」
来る前から既に泣きそうだった結は、真代の顔を見た途端に大粒の涙を流した。
「だってさぁ、お父さんを亡くしたばっかりなんだよ……あんまりさぁ」
そして真代に抱きつき顔を埋めた。
「だからって、泣くのはお前じゃないだろ?」
普段は明るく友達思いの結だが、涙脆いところがある。そんな結を真代はそっと抱きしめると、
「本当に大丈夫さぁ」
背中を軽くトントンする。
「なあ真代。今は悲しくてしんどいだろうけれど、俺達はいつだって一緒だし力になるからな。だから遠慮しないで何でも相談しろよ」
「うん、ありがとうね。大樹」
「お、おうだぜ。遠慮なんかしないで、どんどん頼れよな」
すると結が顔をあげ、泣き腫らした目のまま返した。
「圭に頼れと言われてもねぇ?」
「な、何だよそれ。どういう意味だよ」
「ふふふ。確かに」
「えっ、真代まで?」
「だって、ねえ」
そんな泣き顔と控えめな笑みの四人のもとに、吉美が加わった。
「まあまあ。みんな来てくれて、ありがとうね」
「とんでもないです。おばさんも大変ですね。無理してまた腰を痛めないで下さいよ」
「あら、気を使ってくれてありがとうね。でも梢ちゃんの初七日までは、私も真代ちゃんも何かと手が離せないから。その間、お店の方はあんたら三人に任せてもいいかしら?」
四人は郷研部の活動費を捻出するために、週に四日は喜屋武食堂でアルバイトをしている。
「はい、任せてください」
しばらく五人で雑談をしてから、結たちは引き上げていった。去り際に結がまた泣き出したが、それには圭も何も言わなかった。
「本当にいいお友達ね」
隣で見送った吉美がつぶやくと、真代は泣きそうな顔で頷いた。
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