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散歩
「おはよう真斗、竜馬」
「おはよう綾〜早いね〜あれだけテレビゲーム深夜まで夢中になってたのに〜」
「おはようまだ眠いよ」
「じゃあ行くか朝の浜辺の潮風は最高だぜ。ご飯奢るからさ〜」
「わかった朝飯期待するよ」
僕は身支度を簡単に済ませて玄関の鍵を閉めて朝の散歩に真斗と竜馬と出掛けた。
朝の澄んだ空気と海の潮の香りそして波の音何度聞いても心地良く。
浜辺では観光客が地引き網をして楽しんでいた。
三人と同じようにただ歩いている人もいた。
その時だった。初めにその事に気づいたのは真斗だった。
「なんだ?あれ?」
「随分と大きな透明な瓶だけど?」
「何か入ってる?あんな瓶見た事ないな〜透明で大きいし蓋も大きい瓶の頭が大きいから何か入れたのか?とにかく行ってみよう」
僕達三人はその大きな珍しい瓶が気になって走って近づいた。
僕達三人は瓶の蓋を空けると中に入っていた数枚の便箋を取り出した。
その便箋に書いてある文字に僕達は興味を持った。
そして僕達三人はその文字を読んだ途端驚愕した。
便箋に書いてあった事、それは〜。
「1985年8月10日東京都立前田高等学校三年B組桜田綾様この瓶を見る頃には同じクラスの阿笠竜馬さんと葛城真斗さんと早朝散歩をしている頃でしょう。
綾様あなたは大学を卒業して両親の見習いとして経営コンサルタントの仕事を真面目に取り組み、あなたは若くして両親が取る事ができなかった世界経営コンサルタントグローブ賞を貰いマスコミメディアで注目を浴びる存在になります。
だから助けてください。熱海の鶴姫旅館を。
今はバブル期ですがバブルは1991年で終わります。
そして多くの旅館も潰れてしまうのです。
私は鶴姫旅館の女将です。バブル期が終了した時うちの旅館も負債を出して私は信頼できる人数人と夜逃げをする事になるんです。
だからそうなる前に助けてください。桜田綾様同封した写真は潰れた時の写真です」
僕は真斗と竜馬に言った。
「鶴姫旅館って今、日本で一番で儲かってるって言われてる旅館だよなー?あんなに人気の旅館が潰れる?クラスメイトの翔も今年泊まりに行くって自慢してたぜ?」
「それよりバブルが終わるってなんだ?テレビではバブル期バブル期って言ってるぞ〜そんな簡単に終わるのか?」
「真斗、竜馬これドッキリだろう?俺の名前とか瓶に入れて昨夜俺一番早く寝ちゃったもんな〜二人でここにきて仕掛けておいたんだろう?そんなの引っかからないよ。高校名もクラスも知ってるなんてこんな事出来るのはお前達だけだよなー」
真斗と竜馬は言った。
「俺達何も知らないよ。それにバブル期が終わる西暦なんて知らないし、それに鶴姫旅館が潰れた後の写真?まで入ってる。何で僕達の事を知ってるんだ?もしかしてストーカーじゃないか?」
桜田綾は言った。「写真の裏に何か書いてある」
三人は写真の裏に書いてある言葉に身震いを感じた。
「お願いです。助けてください。今夜19時に別荘の方に従業員二人連れて行きます。その時に詳しいお話をします。信じてくれないかもしれませんが私はバブルが終わって廃業した鶴姫旅館から夜逃げをする前1995年に旅館の厨房でこの手紙を書きました。あなた様のいる世界ならまだ立て直せるかもしれない。助けてください」
三人は「今夜来る?未来から?従業員を連れて?」
「きっといたずらだよ」
「真斗か?竜馬じゃないのか?」
「とにかく未来から来るってどういう事だよ?」
「バブルが終わるわけないじゃん?」
「俺達の他に同じクラスの誰かが熱海に泊まって驚かせようとしてるんじゃないの?」
「だ、なーたぶん写真まで入れて凝ってるなー」
三人は近くの朝ごはんが美味しいと評判の食堂でご飯を食べ別荘に戻ると水着に着替えて海水浴を楽しんだ。三人は瓶が気になったので瓶は手紙と写真を入れたまま別荘まで持ち帰りテーブルの上に置いておいた。
三人共同じクラスの誰かが近くで泊まっていて自分達にドッキリを仕掛けているのだろう?と思っていた。
三人は左右をキョロキョロと海水浴をしながら見回した。
「いないなー。同じクラスの奴?」
三人がいくら周りを見ても同じクラスメイトは誰一人いなかった。
そして、僕達三人は別荘に戻り少し早い夕飯のレトルトカレーを食べながら手紙の主を待っていた。
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