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2 波乱の幹部会議
王都アデリーのラムダン城玉座の間
天井の高い王の間の最奥にある、金箔の玉座に座ったラムダン16世は、金の刺繍を施したきらびやかな衣装を身に付け、貴石を散りばめた杖を握っていた。
そして、生気のない目付きでバジット卿を見下ろして口を開いた。
「最近、レジスタンスどもの活動が目に付くが、取り締まりに問題はないだろうな?」
「問題なぞありません。
すべて私にお任せ下さい。
王が心配されることは何一つございません。」
黒いスエード調のローブを身にまとったバジット卿は、玉座の前にある大きな楕円形のテーブルに着いたまま、不敵な笑みで答えた。
「私に任せていただければ、今までもそうだったように、これからも王の地位、そして王家は安泰です。
この広い玉座の間で、ごゆるりとなさっていればよいのです。
何も心配なさることは無い。」
バジット卿は大袈裟に両腕を広げた。
「王は王として、いかなる時でも玉座の間に居ることが、何にもまして重要なのです。
国の民は、それでこそ安心して暮らしていけるのです。
あなたは、まつりごとなんぞ気になさらずに、ご自身のご趣味などにお時間をお使いください。
全てを私にお任せ下さい。
お分かりですな?」
バジット卿はラムダン16世の目を見据えた。
ラムダン16世はバジット卿の眼光に気おされた。
「あ、ああ。心得ておる。
この国が安定して繁栄しているのはバジット卿の手腕のなせる業。」
「お褒めいただき、恐縮至極ですな。」
バジット卿は椅子に座ったまま頭を下げた。
ラムダン16世は歯ぎしりした。
ふん、クソジジイが……
何も口出ししないで、この部屋に閉じこもっていろっていうことか……
……まあいい。
でも、お前が過ちを犯した時には、即失脚させてやるからな。
「では、ラムダン王、私はこれから幹部会議が控えておりますので、これで失礼いたします。」
バジット卿は、ゆっくりと立ち上がると、うやうやしく頭を下げた。
そして、ローブに付いているフードを深々と頭にかぶると、玉座の間を退去した。
ラムダンのやつ、自分が名ばかりの王だということを忘れておるのではあるまいな……
貴様が反逆者の心配なんぞする必要はない。
何の力も無いやつが思い付きで口を挟むのではない。
愚か者め……
バジット卿は城の南側にある近衛兵団中央基地の会議室に向かった。
◇
会議室の前に来ると、1人の人物が直立不動の体勢でバジット卿を待っていた。
バジット卿はその人物に声を掛けた。
「おお、もう来ていたのか。」
「はい。皆さんもお揃いです。
お1人はまだお見えになりませんが……」
「ああ。ガザンだな?いつものことだ。ガザンは欠席だ。」
バジット卿はそう言いながら、会議室の扉を押し開けると中に入った。
バジット卿を待っていた人物も付き従って会議室の中に入った。
会議室の中央に置かれている長方形の大きな木製のテーブルには、近衛兵団の3人の師団長が距離を開けて座っていた。
窓側の席には第1師団師団長のハンス。
その正面の扉側の席には第2師団師団長のバラジ。
そして、ハンスの左手の下座の席には第4師団師団長のセシルが座っていた。
ハンスとバラジは軍服を着ていたが、セシルは相変わらずタイトな黒のレザースーツを身に着けていた。
バジット卿が姿を現わすと、ハンスがすっくと立ち上がった。
巨漢のバラジは、ハンスからやや遅れて、テーブルに両手を着きながら、のっそりと立ち上がった。
セシルは、2人が立ち上がったのを見て、面倒くさそうに最後に立ち上がった。
「皆、揃っているようだな。掛けてくれ。」
バジット卿は、3人の顔を見渡すと、ハンスの右手、セシルの正面の上座の席に着いた。
3人の師団長は、バジット卿が座るのを確認すると、それぞれ元の席に着いた。
バジット卿の後に続いて会議室に入って来た人物は、静かに扉を閉めるとバジット卿の後ろに立った。
3人の師団長は、バジット卿の後ろに立った人物の姿に一瞬目を丸くしたが、すぐに平静さを取り戻した。
お互いに牽制し合いながら、チラチラとその人物を観察していた。
つかの間、会議室に沈黙が流れたが、その沈黙を破って、バラシが口を開いた。
「ふーっ。
全員揃っていないが……」
巨漢のバラジは口から息を吐くとバジット卿を見た。
「……確かに。
ガザンはどこにいるのですか?」
ハンスがバラジの言葉を引き継いだ。
「うん?ガザンは任務遂行中じゃ。」
バジット卿は当たり前のように言った。
「皆、それぞれ任務はあります。
幹部会議への出席は最優先事項なのではありませんか?
我々が結束していなければ、反逆者から国を守ることなど出来ません。
それに、規律が乱れると兵士たちの士気にも関わります。
この現状は承服しかねます。」
ハンスは冷静にバジット卿に意見を述べた。
「ハンスの意見はもっともだな。
だが、ガザンは組織の外でこそ能力を発揮できる男なのだ。
今までにも、それ相応の実績を残しておる。
ラーマの麒麟のカダクの施設を発見したのもガザンだからな。
そもそも、ガザンが自由に活動することは私が認めたこと。
皆、それぞれ思うところがあると分かっておるが、結果がともなっている以上、ガザンにはこれからも変わらずに行動させる。
ただし、結果が出ないようであれば、私も考え直す。
現状はこれで納得してくれ。」
バジット卿は反論を許さないように威圧的な物言いをした。
ハンスは、口を真一文字に結んだまま、うなずいた。
「別にいいんじゃない?好きにやっていたって。
幽霊なんてあだ名が付いているんだし。何処にいるのかも分からないなんて、本当に幽霊ぽくって面白いじゃない。」
セシルは、組んだ長い脚をぶらぶらさせながら、興味なさげに言った。
「ふーっ。
お前はカダクで負けたくせに偉そうだが。
ふーっ。」
バラジがセシルに突っかかった。
「ふざけんなよっ!デブ野郎っ!
誰が負けたって?
きっちり、むこうの幹部を倒してんだ。
知りもしないで、言いがかりをつけるなっ!」
セシルは、テーブルを激しく叩いて、まくし立てるように真っ向反論した。
「ふーっ。ふーっ。ふーっ。
でも、隊の頭を取っていないだろ。
負けたのも同然だ。
奇襲に成功したのに頭を殺れなかった。
ふーっ。」
バラジは、セシルの反論に興奮しているせいか、丸顔を真っ赤にさせて、呼吸が速くなっていた。
そして、上着の胸元から覗いている刀傷が疼くのか、無意識のうちにボリボリと掻きむしっていた。
「あれには正当な理由がある。
我々が把握していなかった、想定外の能力者がいたからだ。
聞けば、アグリムの孫らしいじゃないか?
事前に情報を入れておいてほしいわね、バジット卿っ!」
セシルはバジット卿を睨むように見た。
「すまんな、セシル。
私の千里眼でも把握できていなかった。
まさか、アグリムにインジゴの他にも孫がいたとはな……」
バジット卿はアシュウィンのことを苦々しく思い出していた。
「倒すチャンスは必ず訪れる。その時は頼んだぞ、セシル。」
「ふんっ!」
セシルは鼻を鳴らして天井を見上げた。
頭の中には、あの時のアシュウィンとの戦闘がまざまざと浮かんできた。
「あんなマントラ、今までに見たことが無かった……
っていうか、あの光の球体みたいなもの、マントラの能力で現れたのかしらね?」
「でも、他の理由が考えられないだろう。
マントラの作用で現れたものだ。」
ハンスがボソッと言った。
「衝撃波でもなければ、念動力とも違ったのよ。あの光の球体……
一体、どうやったら出来るんだろ?」
「ふーっ。
戦っていて、分からなかったのか?」
バラジは小馬鹿にしたように言った。
「ウゼェなっ!
一言一言、いちいち鼻に付くんだよっ!」
セシルはバラジを睨みつけた。
「まあまあ、2人とも落ち着け。」
バジット卿が2人をなだめた。
「セシルの説明を聞くと、あながちマントラの能力だけで、その球体を出現させたのではないのかも知れんな……」
「ええ。私も同感よ。
その証拠に、あの球体が私の結界に接触した瞬間、もの凄い衝撃が起きたのよ。熱風も半端なかったわ。
結界で無力化することが出来なかった。
とてもマントラの力だけとは思えない。
あの坊や、要注意よ。」
セシルは窓の外に視線を移した。
窓の外では、水鳥が、大きく翼を広げて全身に陽光を受けながら、気持ちよさそうに気流に乗って滑空していた。
「その内、俺が倒すが。ふーっ。」
バラジはセシルの方を見ながら言った。
「ふんっ!」
セシルは、突っかかってくるバラジに嫌気が差して、顔を合わせようとはしなかった。
場の空気が重くなりかけたために、ハンスが口を開いた。
「それで、今日の議題は何ですか?
急に招集を命じられて、余程の理由があるんでしょうね。」
ハンスがバジット卿に水を向けた。
「ああ。
実は新たな師団を創設しようと考えておる。
最近はラーマの麒麟の他にも反逆者どもの組織が現れているからな。
今まで以上に取り締まりを強化することが必須。
まあ、戦力を増やすだけで解決する問題ではないが、体制の再構築が必要な局面だ。」
「……それで、バジット卿の後ろに立っている、仮面を着けたお嬢ちゃんがこの会議に出ているのね?
お嬢ちゃんだよね?
若いよね?」
セシルの言葉に促されるように、ハンスとバラジは小柄な仮面の女性に視線を移した。
「仮面を着けたお嬢ちゃんがこの会議室に入って来た時、ハンスが何も言わなかったものだから、てっきり私以外は知っているのかと思っていたけど、違ったみたいね。
何で無反応だったのよ?」
セシルはハンスに詰め寄った。
「いや、バジット卿から説明があると思っていたからな。
こちらからどうこう言う必要もなかろう。」
ハンスは多少動揺した。
「何言ってんの?あんな仮面を着けているんだよ。
無反応でいるには、怖すぎだろっ!」
セシルは眉間にしわを寄せた。
「そういうセシルも、彼女のことに触れなかっただろ?」
ハンスもセシルに少しだけ反論した。
「それはそうだけど……」
セシルは珍しく口ごもった。
最初、ハンスもバラジも、そしてセシルでさえも、得体のしれない雰囲気を醸し出している仮面の女性の話題に触れることをためらっていた。
仮面を着けて軍服を着ている姿が、3人にとっては異質なものに感じていた。
その女性が着けている白い仮面は軽そうな材質で作られているようだった。
両目の部分は視界を確保するために穴が開いていて、鼻と口の部分は呼吸しやすいようにメッシュ状になっていた。
「では、本題に入るとするか。」
バジット卿は仮面の女性を隣に招き寄せた。
「皆に改めて紹介しよう。
ここにいる子は、私の孫娘だ。」
3人の師団長は、「えっ?」と言ったきり、二の句が告げずに口を開いたまま、驚きを隠せなかった。
「GD、師団長に挨拶を。」
バジット卿は優しい目付きで仮面の女性に促した。
「皆さん、初めまして。GDと申します。
事情がございまして、この仮面を付けたままでご挨拶することをお許しください。
この度、私は近衛兵団に入団いたしました。
まだまだ未熟者ですが、よろしくお願いいたします。」
GDはやや小声で挨拶をした。
「なんか、ツッコミどころが満載なんだけど。」
セシルは思わず本音を口にした。
「うぉほんっ!」
ハンスは咳払いをしてセシルをたしなめた。
「なによっ!だってそうでしょ?
孫娘って、GDっていう名前は本名じゃないでしょ?」
セシルはバジット卿に答えを求めた。
「ああ、その通り。愛称だ。
孫娘(Granddaughter)だから、GDと呼んでおる。」
「呼び名はいいんだけど、その仮面は取らないの?それとも、取れないの?
事情があるって言っていたけど。」
セシルはハンスとバラジが最も気になっていたことを尋ねた。
GDが何かを言おうとしたが、バジット卿が代わりに説明した。
「なぜ、GDが仮面を着けたままなのか、3人とも気になっていると思う。それは当然のことだ。
実はな、不幸なことに、GDの顔には幼少のころに付いた傷があるのだが、その傷を人に見られるのが強いストレスになる。それで、普段から仮面を着けておる。
GDにとって仮面を着けていることは、呼吸をすることと同じくらいに自然なことだ。
人前で仮面を取ることに何の意味もないし、それどころか、本人にとっては凄まじいストレス以外の何物でもない。
GDが仮面を着けたままでいることを、どうか私に免じて許してやってくれ。」
「それは理解しましたが、新たな師団を創設するということは、5番目の師団を組むということですか?」
ハンスが話を本題に戻した。
「そうじゃ。GDを師団長として、第5師団を組成する。」
バジット卿は3人の師団長に首を巡らせて、その反応を確認した。
「バジット卿のお考えであれば、私は何も申しません。」
ハンスは同意した。
「ふーっ。
師団を束ねるんだから、当然、マントラの能力があるんだが?」
バラジはバジット卿に確認した。
「言うに及ばん。私の孫娘だ。
それに戦闘能力も君たちに引けを取らん。
今まで私が個人的に訓練してきたからな。」
バジット卿は3人の不安を取り除くように説明した。
「GDに足りないものは師団長としての経験だけじゃ。
それについても、十分に補佐できる者を兵士長に任命する予定だ。」
「いいんじゃない?せいぜい活躍してもらおうよ。」
セシルは伸びた前髪を整えながら言った。
「ついては、現在、英雄の丘一体を統治しているのはセシルの第4師団だが、そこをGDの第5師団に交代させる。
そして、第4師団は王都に駐留してもらう。
セシル、何か意見はあるか?」
バジット卿はセシルに意見を求めた。
「いえ、別に……
王都の方が生活するには便利だし、色んな事が起こりそうだし。
ただ、あの場所はカダクの町からこの王都アデリーに続く要衝でしょ?
いきなり私の代わりをするなんて、荷が重くないかしら?」
セシルはその大きな瞳で仮面越しのGDの目を見つめた。
「……はい。セシルさんが務めていた重責を担うことになりますが、この身を賭して任務に当たる覚悟です。」
GDはセシルに気おされまいと必死に平静さを装って答えた。
「まあ、頑張りなさい。」
セシルはセシルなりに優しく言った。
「よろしい。
今後の近衛兵団は5師団体制とする。これにより国内の治安をより盤石なものとすることが出来よう。」
バジット卿は満足げに言った。
コン、コン、コン!
その時、会議室の扉をノックする音が響いた。
「ふーっ。何だがっ?」
扉の一番近くに座っていたバラジが振り返って叫んだ。
「会議中に失礼致します。」
中央基地付きの兵士が恐る恐る会議室の中に入ってきた。
「バジット卿に緊急のご報告です。」
「何か?」
バジット卿は兵士を傍らに呼んだ。
兵士は、バジット卿の元に進み出ると、報告内容を耳打ちした。
「そうか、分かった。ご苦労だったな。
もう、下がってよいぞ。」
「はい。失礼致します。」
兵士は会議室から素早く出ていった。
会議室の扉が閉まるのを確認したバシット卿は口を開いた。
「皆に伝えることがある。
ガザンが重要な情報を入手した。
報告では、ラーマの麒麟の小隊20名を捕捉したとの事だ。」
バジット卿は師団長の面々を見回した。
「20名の小隊だと隊長クラスはいない可能性もありますね。」
バジット卿と目が合ったハンスが言った。
「ところがじゃ、第2隊隊長のチャンドラが指揮しているとの情報だ。」
バジット卿は不敵な笑みを浮かべていた。
「隊長が小隊を率いて、何をしているんだ?」
セシルも面白そうな情報に食いついてきた。
「ふーっ。
バシット卿、俺が行かせてもらう。
相手がチャンドラだと聞いたからには譲れないが。」
バラジはのっそりと立ち上がった。
「バラジ、行くなと言っても行くのじゃろう?」
バジット卿がバラジに確認した。
「ふーっ。ふーっ。ふーっ。
当然だがっ!
チャンドラのジジイめ。
この傷の借りは必ず返させてもらうがっ!
ふーっ。ふーっ。ふーっ。」
バラジは、着ているシャツの胸元を拡げて、胸一面に付いた大きな刀傷を見せた。
「それで、チャンドラは今どこにいる?
叩き潰してやるがっ!
ふーっ。」
「ムンベイから、このアデリーに向かって来ているようだ。
バラジよ、師団を率いて一気にチャンドラの奴を潰してこい。」
バジット卿はバラジにはっぱをかけた。
「ふーっ。
了解だがっ!
悪いが会議はここで失礼する。」
バラジは会議室の扉を勢いよく開け放って出て行った。
「この情報もガザンの情報ですか……
確かにガザンが収集する情報は重要な情報が多いようですね。」
ハンスはガザンの情報収集能力の高さを認めざるを得なかった。
「当たっていればでしょ?
いるのかどうか、まだ分からないじゃない。」
セシルは水を差した。
「確かにそうだが……
情報の真偽は、すぐに分かるだろう。」
バジット卿はガザンの情報の正確さを信じて疑わなかった。
「さあ、GDも師団に戻って、出発の準備をするのじゃ。」
「はい。では、失礼いたします。」
GDは、バジット卿、ハンス、そしてセシルに丁寧に挨拶すると、会議室から出て行った。
「バシット卿のお孫さんですか。
失礼ながら、お孫さんがいらっしゃるとは全く存じませんでした。」
ハンスは、GDが出て行った扉の方を眺めながら、バシット卿に言った。
「隠していた訳ではないがな。あえて言う必要もあるまい。」
「心配ではないんですか?お孫さんが兵団に身を置くことに。」
「GDが成人になる前は、入団させる考えは頭の片隅にも無かった。」
「何か入団させるきっかけでもあったのですか?」
「大人になるにつれて、マントラの能力が飛躍的に強くなっていった。
目を見張るほどにな……
このままマントラの力を消費せずに身体に溜め込み続けると、心身が持ちこたえられなくなって、身体の内部から崩壊してしまう危険性もある。
それを回避するためにも、マントラを使用する正当な理由が必要だ。
それは我々も孫も同じこと。
何よりも、入団にはGD本人の強い希望があった。」
「あの、一つお聞きしてもよろしいですか?」
ハンスは恐縮しながらバシット卿に訊いた。
「何だ?改まって。」
「GDのお父上は、もしかするとあの方ですか?」
「もしかせんでも、わしの息子は奴しかおらん。」
「……そうですよね。」
ハンスは質問したことを後悔した。
セシルは呆れ顔でハンスを見た。
「あの親にしてこの子ありってとこかしら?
あんなお嬢ちゃんがねぇ……お手並み拝見ね。」
セシルはバシット卿の顔を見て皮肉っぽく言った。
「キッチリと仕事をするはずじゃ。
セシルよ。GDのこと、気にかけてやってくれ。」
バシット卿は怖いくらいに真剣な表情になっていた。
「ハーーイ。」
セシルはおどけて右手を上げた。
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