エミリィ・ブラントの手記

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 だけれど、ここでの生活は思った以上に大変だった。子どもたちの世話をしながら全員の動向を把握して、うまくゲームが進むようにアイテムをばらまいたり、決断の分岐を作ったり……でも、それに関しては観客が手助けをしてくれたの。彼らは自分たちにも役割を与えることで、より一層にこの娯楽にのめりこんだ。先にも記した通り、すべての部屋にカメラがあるから、わたしの目の届かないところで子どもたちがやっていること、話していること、それらを観客が教えてくれたの。  情報提供者という役割よ。  そして、わたしはそれを元にゲームを構築する。時には彼らからリクエストが届くこともあった。脱走劇ばかりじゃつまらないから恋愛ドラマも見てみたいとかね。彼らはそうやって、脱走が成功するか否か、誰と誰がくっつくかを予想し、賭け事もやっていたみたいね。  今、これを読んでいるあなたは、この事実をどう思っているかしら。  もし、あなたが子どもたちの誰かなら、あなたはこの手記をどうする? みんなに見せるかしら。それとも『ママ』に突き付けるのかしら?
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