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すべてを読み終え、アリアは大きなため息をついた。
「まったくママったら……」
この手記に書いてあることは、半分嘘で半分本当だ。実際にアリアはソードたちと幾度も脱走を企てたし、ここを去る際は恐ろしくもあった。
けれど、GMがゲームマスターなどというのはまったくの嘘である。事実、アリアはここにGMとして派遣されているが、そんなことは一言も聞かされていない。この手記を手にした瞬間こそは知られざる真実が書かれているのかと、子どもの頃に感じた恐怖が過ったのだが、読んでみればなんのことはない。明るくお茶目だったママ、エミリィ・ブラントのいたずらに過ぎないと、アリアはその手記をデスクの引き出しへと仕舞った。
「さて、夕食の準備をしなくっちゃ」
子どもたちが、お腹をすかせて待っている。立ち上がり、ふと気になってアリアは部屋の隅へと目を走らせた。小型のカメラ。そんなものはどこにもない。エミリィの手記に影響されそうになっている自分に苦笑いし、アリアは部屋を出る。
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