エミリィ・ブラントの手記

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 だからこそ、わたしは誇らしかった。GM育成学校を首席で卒業し、いまだかつてない伝説のGMとなりうるだろうと、わたしの前評判はとても高かった。  そして、わたしはそれに恥じない10年間をミューパー孤児院で過ごした。  幾つか事件はあったわ。その中でもっとも大きな事件が──ソード率いる年長者による反乱ね。わたしがミューパー孤児院へやってきた当時、ソードは14歳だった。黒い髪に黒い瞳。彼はとても聡明な少年で、いつも小脇に本を抱えていた。  知っての通り、ミューパー孤児院には15歳までしかいられない。里親が見つからなければ15歳になると同時に孤児院を出て、ひとりで生きていかなければならない。だから、わたしは14歳の子たちには特に目をかけた。  14歳の子は3人いて、ソード、カイ……そして、アリア。リーダーがソード、そしてカイはスパイ、アリアは囮といったところかしら。カイはわたしに取り入りって情報を聞き出す役、アリアは囮となってわたしの気を引きソードとカイの動きを悟られないようにする役、そしてソードが行動を起こす。  とはいっても、すべてわたしには筒抜けだったわけで、彼らがなにをしようとしているのかはわかっていた。
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